夫婦関係が悪化し、離婚を考える前段階として「別居」という手段があります。しかし、怒りにまかせて家を飛び出すのは考えもの。ほとぼりが冷めたら戻れる「プチ家出」とは重みが違います。後悔しない選択をするために、夫との別居に踏み切る前に準備しておきたい項目をまとめました。
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別居の前に考えておくべき項目
別居は離婚の前段階として有効な手段です。夫婦関係がこじれたとき、お互いが冷静になるために必要な冷却期間を設けることができます。家出とは異なり、別居はある程度長期間にわたることが想定されるため、さまざまな準備が必要です。まずは心構えとして、別居前に考えておくべき項目をあげてみます。
別居の理由をはっきりさせる
多くの場合、別居は離婚に直結します。気持ちが離れていった結果の別居ですから、当然のこととはいえ、最終的に自分はどうしたいのか、別居前に気持ちの整理をしておくことは大切です。別居をする際には、理由をはっきりさせておきましょう。後々、調停や裁判になったときに、不利になることがないよう、よく考える必要があります。夫の浮気、借金、家庭内暴力など、夫側に非があるときはわかりやすいですが、性格の不一致など曖昧な理由では妻の身勝手と判断されかねません。離婚の理由を書いて整理しておくと、そのまま夫に渡すこともできますし、家を出た後に内容証明として送ることもできます。
子どもの生活シミュレーション
子どもがいる場合は、別居した場合にどのような生活を送ることになるのか、シミュレーションしておくことが大切です。保育所や幼稚園、学校に通っている場合は、なるべくこれまでの生活が変化しないように、変化する場合も緩やかに新生活に移行できるように、気を配る必要があります。ある程度大きい子には、「お父さんとは別々のお家に住むことになったよ」と話しておくべきです。いずれ親権を持ち、子どもと暮らしたいという場合には、子連れ別居は必須です。夫側に置いて出ていくと、後々不利になるケースがほとんどです。
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別居前に準備したい生活インフラ
別居はある意味、新生活のはじまりです。精神的な安定、肉体的な安全をはかるために、生活インフラの準備をしておきましょう。生活インフラとは、生活をするために必要な経済的基盤や、寝食のための物理的なものをさします。
住居と仕事の確保は必須事項
別居の際はまず住むところを確保しなくてはなりません。親との関係が良好で、子どもが保育所などに通っていない場合は実家に帰るというのも選択肢のひとつです。子どもの学校や自分の仕事がある場合は、別居が長期にわたることを考えると、近隣に部屋を借りる必要があります。その場合は、初期費用がかかりますから、最低限のお金の準備が必要です。仕事をしていない場合は、働き場所も見つけてください。夫の暴力などDV被害を受けている場合は、行政や民間が運営しているシェルターを頼るという方法もあります。シェルターではある程度行動が制限されますが、住居と仕事が見つかるまでは保護してもらえます。安心して食べて寝ることができる場所と経済力が別居の基本インフラです。
いざというとき頼れる人を見つけよう
ごはんを食べ、寝る場所があれば一安心ですが、別居した当初は親子ともどもストレスがかかりがちです。病気になったり、精神的に不安定になったり、落ち着かない日が続くこともあり得ます。いざというときに頼れる人を確保しておくことも大事です。実家の両親、兄弟姉妹といった身内に事前に相談しておいたり、無料相談できる弁護士、行政サービスなどの公的支援を調べたり、余裕のあるときに準備をしておきましょう。悩んでいるときは、ただ話を聞いてくれる人がいるとありがたいものです。関係を壊さない程度に、話を聞いてくれる友だちが見つけられるといいですね。
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別居の際に持ち出しておくべきもの
住居と仕事の確保が終わり、いざ別居というときに持ち出しておくべきものがあります。夫との話し合いがうまくいけば問題ないのですが、非協力的な場合は一度別居してしまうと、荷物を取りに戻ることは難しいと考えておく方が無難です。子どもの大事なものも含めて、持ち出しリストを作ってみてください。
個人名義の通帳や印鑑と貴重品
個人名義の通帳や印鑑、宝石類などの貴重品は必ず持ち出す準備をしましょう。生命保険の証書、年金手帳は忘れがちです。しかし、夫名義の通帳や株券などを持ち出すのはNGです。後からトラブルになる恐れがありますので、注意してください。共有名義の口座の場合は、夫婦の共有財産です。できれば持ち出しは控えるべきですが、預貯金の半分なら許容の範囲と判断される場合もあります。別居時の夫との関係にもよりますが、捨てられては困るものはなるべく持っていく方がいいでしょう。
離婚調停・婚姻費用請求に必要な書類
別居後、話し合いを経て関係が修復できる場合もないわけではありません。しかし、最終的に離婚にいたることを考えて、離婚調停に必要な書類はまとめて持って出てください。財産分与などの話し合いで、給料明細書や通帳のコピーが必要になる場合もあります。夫がきちんと準備してくれるとも限らないので、お金に関する情報はコピーか原本を準備しておくと安心です。また、これらの情報は、婚姻費用請求にも必要になります。別居中でも婚姻関係が継続していれば、収入の多い方に生活を担保する義務があります。別居時の生活費が不安だという方は、請求を出しましょう。不払いの場合は、給与から差し押さえることもできます。
おわりに
離婚の前に必ずしも別居が必要だというわけではありません。暴力や暴言、精神的圧迫がなければ、同居のまま離婚の話し合いをした方がよい場合もあります。別居の準備をする前に、行政の無料相談などを利用して、情報を集めてください。離婚、別居に関しては弁護士に相談するのが一番です。各地域の弁護士会で無料相談をしていることがあるので、検討しましょう。子どものためにも自分のためにも、急がず、準備は慎重に行ってください。
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