結婚の在り方が多様化している現在。子どもを持つ夫婦がいる一方で、子どもはいらないというカップルもいることでしょう。結婚は、「家と家がするもの」という意識が薄れたことから、後継ぎとなる子どもの有無も、夫婦の最優先事項ではなくなったということがうかがえます。しかし、変わらず子どもがほしいという夫婦もいる中で、子どもはいらないと考える夫もいます。
ここでは、子どもがいらないという夫の理由についてご紹介します。
夫が子どもはいらないという理由について
「結婚したら子どもがほしい」「男の子(女の子)が生まれたらいいな」と想像する夫婦が数多くいる一方で、子どもはいらない派という夫が、最近では増えつつあるようです。子どもを生み、育てるのは楽しいことばかりではありませんが、なぜ夫は子どもがいらないと考えるのでしょうか?
子どもまで養う経済力がないから
子どもはかわいい存在に変わりはありませんが、生まれてから大学を卒業させるまでには、信じられないほどのお金がかかります。実は、養育費だけでも平均1600万円が必要だと言われているのです。
しかし、終身雇用も少なくなり、非正規勤務もめずらしくない現在は、男性でも子どもを育てるほどの収入を得られないことも多くなりました。また、妻が専業主婦の場合は、妻を養うだけで精一杯で、共働きの場合でも夫婦合わせての収入で生活がギリギリというケースも存在するため、子どもまで考えられないという現実があるのです。
晩婚のため、子どもを育てて行く体力がない
近年は晩婚が増えており、40歳をすぎて結婚する男性も少なくありません。
年をとっても、子どもを持てる可能性はありますが、遅くから子どもを育てるとなると、自分の体力がついていかずに、成人するまで支えていけるか不安に感じる人がいます。
そのうえ、年とともに病気になるリスクも出てきますから、子どもに不自由な思いをさせたくないとの思いで、子どもを希望しない場合もあります。
子どもの頃に良い思い出を持っていない
子どもの頃に、親が厳しすぎて甘えた記憶がない、親が仕事で忙しかったので、ゆっくりと話したことがないという男性も、子どもはいらない派になる可能性が高いです。また、虐待を受けて育った場合も悲しいトラウマが消えておらず、子どものことまでイメージできないこともあるでしょう。
共通するのは、自分のように寂しい子ども時代を、自分の子どもにまで過ごしてほしくないと感じていることです。
自由な時間がなくなるから
夫婦二人だけなら海外旅行や頻繁に外食するなど、ある程度自由に時間を使えます。しかし子どもを持つことにより早く帰って育児をしたり、土日は子どもと遊んだりと、自由な時間は減ることでしょう。
自分の自由な時間が削られると感じるか、子どもと過ごす時間が幸せと感じるかは人によって違います。子どもがいらないという男性は、前者のように感じる人が多いのかもしれません。
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夫が子どもはいらないなら、結婚生活はどうなる?
子どもを持たない夫婦もいるとはいえ、妻側が子どもを希望しているケースは少なくありません。夫婦各々の考えが一致している場合は良いですが、夫側だけが子どもがいらないという考えを持っていたとしたら、夫婦の結婚生活にどのような問題が生じる可能性があるでしょうか?
妻が自分の気持ちを我慢する必要が出てくる
夫が子どもはいらないという意思が強ければ強いほど、妻は「子どもがほしい」という気持ちを伝えることが困難になってしまいます。
特にそれがはっきりとしており、納得の行く理由であれば、「私ばかりワガママは言えない」という思いに陥る妻は少なくないはずです。そのため、自分の本当の気持ちは表に出さず、心に秘めておかなければならなくなってしまいます。
お互いの価値観の違いが否が応でも明確になる
好きで結婚したはずなのに、夫が子どもはいらないという考え方だと、妻との未来の方向性が違ってきてしまいます。
例えば、子どもがいらないという夫はキャリアアップに力を入れたり、妻と2人でゆっくり過ごしたいという将来のプランを持っているかもしれません。しかし、子どもがほしい妻はキャリアよりも、子ども・夫と一緒に趣味やアクティビティを持つ将来をイメージしている可能性があるでしょう。
このような価値観のズレが、結婚生活のストレスになる場合も否めません。
最悪の場合は離婚という結末も
「子どもはいらない夫」と「子どもがほしい妻」がお互いの気持ちを譲れない場合は、悲しいことですが離婚に至ってしまうこともあるでしょう。両方がお互いを理解し、同意したうえであれば、離婚自体は可能です。2人にとって前向きな離婚であれば、わだかまりも少なくなるかもしれません。
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福祉系大学で心理学を専攻。卒業後は、カウンセリングセンターにてメンタルヘルス対策講座の講師や個人カウンセリングに従事。その後、活躍の場を精神科病院やメンタルクリニックに移し、うつ病や統合失調症、発達障害などの患者さんやその家族に対するカウンセリングやソーシャルワーカーとして、彼らの心理的・社会的問題などの相談や支援に力を入れる。現在は、メンタルヘルス系の記事を主に執筆するライターとして活動中。《精神保健福祉士・社会福祉士》
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