これまで、韓国は先進国に比べると出生率や女性の就業率が低く、育児をしながら働くことは難しいとされてきました。環境も整っていなかったため、女性は就業継続か育児のどちらかに選択する必要があったとされています。そのため、出生率の低下を問題視した政府により、さまざまな施策が実行されています。韓国の出生率や少子化問題について説明していきます。
韓国における合計特殊出生率の変化
2014年の韓国における合計特殊出生率は1.21ということから、日本同様、韓国の少子化問題も深刻なものといえます。少子高齢化により、労働力供給の減少や経済成長の鈍化など次世代を担う子どもたちの負担増加につながる恐れも指摘されています。
家族形態の変化による少子化の現状
三世代以上の大家族が急減したことや高齢の夫婦世帯・一人世帯の増加など、韓国の家族形態は以前とは大きく変化しています。さらに、離婚の増加に伴い一人親世帯が増加したことや、国際結婚によって家族のグローバル化も進み、家族形態の多様化も進んでいます。そのため、従来の家族機能を弱体化させると同時に、育児や介護を家庭ではなく社会全体で行う結果となったのです。
出生率の動きと人口政策について
韓国のベビーブーム期は1955年〜1963年まで続いていました。ベビーブーム期まっただ中の1960年の出生率は6.0を上回るなど、今とは反対に出生率が高いことが問題視されていたほどです。そのため、産児制限政策や家族計画事業を実施することとなりました。その後30年以上続いた育児制限政策が現在の出生率の低下につながった一つの要因と考えられています。
韓国で少子化が問題視される原因
育児制限政策等を見直したにもかかわらず、現在も出生率の低下が続いている原因として若年層の所得や雇用が不安定なことがあげられます。また、韓国は教育熱心な家庭が多く、大学への進学率がほぼ100%ということもあり、子どもの教育費の負担増加が少子化につながっているとも考えられています。さらに、結婚よりも仕事・子どもより夫婦の生活を選好する人が増えたのも一因といえるのではないでしょうか。
合わせて読みたい
低出産高齢社会基本計画で少子化を見直す
出生率の低下が思っていたよりも深刻であったため、韓国政府は「低出産高齢社会基本計画」を実施しました。これにより、少子化に対応する基盤の構築を行い、現段階では「出生率の回復」を目標に引き続きさまざまな施策を打ち出し続けています。
子どもの養育に対し経済的・社会的負担を軽減させる
育児に負担を感じているとされるすべての世帯に対し、支援を拡大するべきという国民の声が高まっています。それを受け、低出産高齢社会基本計画では、0〜4歳児に対し年齢別に教育支援費を定めた保育を実施しました。2013年からは満0〜5歳児をもつすべての家庭に対し無償保育を開始した実績があります。しかし、需要に対し供給が追いつかなかったことで保育の質が低下したという新たな課題が生じてしまったのです。
国際結婚家庭に対し手厚い支援を行う
少子化対策の一環として、国際結婚家庭に対する支援も行われています。韓国人と結婚をした外国人配偶者や生まれた子どもに対して手厚い支援策を行っているのです。2008年に「多文化家庭支援法」が定められ、国際結婚をした家庭の子どもに対し多岐にわたる学習サポートを行っているほか、特別教育のプログラムや相談事業も行っています。
妊娠・出産における支援事業の拡大
妊婦や出産後の母親と乳幼児に対し総合的な健康管理を行うため、出産や育児に関する情報・相談サービスの提供を開始しました。その他にも、妊婦の健康増進や生殖健康プログラムの開発、必須予防接種の拡大、母親と乳幼児の健康・栄養管理の支援を拡大するなどして、妊娠中・子育ての不安を取り除くためのさまざまな取り組みがなされています。結果として、少子化対策につながることを目標としているのです。
合わせて読みたい
1歳の息子がいるシングルマザーです。最近は息子とのお菓子作りにはまっています。
この記事に不適切な内容が含まれている場合はこちらからご連絡ください。