熊本に続き全国で2例目!神戸の赤ちゃんポストは「面談型」

2例目の赤ちゃんポスト設置の見送りの理由

常勤の医師

結果的に、「常設医の不在」がネックになり、2例目の赤ちゃんポストの開設は見送りとなりました。助産院は、経験豊富な助産師が常勤していることを前提とした上で、医師と顧問契約を結んで必要な際は電話で助言を得ると提案をしていました。しかし、神戸市側は、「医師がいない助産院に赤ちゃんポストを設置することは医師法に違反する」、とする厚生労働省の見解を示し、慎重な姿勢を崩しませんでした。

24時間体制の常設医の必要性

今回、「常設医の不在」が設置の見送り理由となったのは、赤ちゃんの安全確保を重要視したからでした。匿名でポストに預けられる赤ちゃんは、健康状態に問題があって一刻を争うケースも想定されます。そのため、赤ちゃんが預けられたら、速やかに医師の診察が受けられる環境が24時間体制で整っていることが必要なのです。

「面談型」で相談機能強化

「こうのとりのゆりかご」では、赤ちゃんポストだけでなく、周囲に悩みを打ち明けることができない妊婦さんの相談にのるサービスの需要が増加しています。そのため、マナ助産院では、赤ちゃんポストの設置の代わりに、赤ちゃんを預けたい母親と事前に面談する運用を決定しました。本来ならば、赤ちゃんポストの利用者が出ないようにするのが理想ですが、現実ではなかなか難しいのです。胎児の遺棄や虐待など、最悪の事態になる前に悩みを打ち明けられ、解決案を一緒に見つけられるような相談員の必要性が高まっています。

公的機関と連携することの必要性

今回、市の慎重な姿勢を受けて設置を断念したもう一つの大きな理由として、赤ちゃんポストは公的機関とのスムーズな連携が必要不可欠であることが挙げられます。赤ちゃんがポストに預けられ、病院で保護されればそれで問題がすべて解決するわけではありません。子どもにはその先長い人生が待っているのです。親が名乗り出ない場合には、子どもは2~3歳まで乳児院に預けられ、その後児童養護施設や里親に引き取られていきます。したがって、公的機関と赤ちゃんポストとの連携は必須なのです。

おわりに

いかがでしたでしょうか。今年で設置から10年、当時預けられた赤ちゃんもすでに10歳になっていることになります。法律上の問題点も多々ありますが、「救える命があるなら救おう」という道徳的観点に基づいて、赤ちゃんポストは設置されています。「NPO法人 こうのとりのゆりかご」では、現在も赤ちゃんポストを稼働しており、相談は件数が増加して人手が追いつかないほどだそうです。読者の皆さまは、どのようにお考えでしょうか。

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