プロジェクト型学習のメリットとデメリット
何事にもメリットデメリットは存在しており、メリットが多いと考えられているプロジェクト型学習にも、もちろんデメリットはあります。それぞれを理解しておくことによって、より学習を吸収しやすくなるので、よく把握しておきましょう。
メリットでもあるがデメリットでもある部分
プロジェクト型学習のメリットとも言える部分である、チームで取り組み、視野を広く持つことが意外にもデメリットになることがあります。なぜなら、グループ内の相性の問題もあるため、自分だけが発言していて、誰も手助けしてくれない、もしくは1人が活発すぎてついていけないなどということにもなりかねないからです。
また、メンバーそれぞれが発言し、ディスカッションをすることが必要となるため、自分の気持ちや考えを口にすることが苦手だという人には、向かない場合もあります。
幅広い能力が身につく学習方法がメリット
プロジェクト型学習は、勉強方法が特徴的なので、その分一般的な学習を行うよりも得られるメリットは広いと言われています。まず、圧倒的に得られる力は、問題を解決する能力です。教室で教師が話をし、黒板に書かれていることだけを学んでいる場合、1つの問題が発生した時に解決するまでに非常に時間がかかってしまいます。
しかし、プロジェクト型学習の場合は、先に問題提起がなされているので「問題が起きるのはこのせいではないか?」といった仮説を組み立てて実行し、正解だったかどうかの検証を行うことができます。こうした考え方は、分析力や考察力を身につけられますし、チームでのディスカッションを通して答えを導き出すことで、コミュニケーション能力を高めることもできるのです。
例え一度失敗したとしても、改善方法をまたみんなで探し出すことによって、人と助け合う大切さを知り、同じ目標を持つ仲間を手に入れることで自信に繋がっていきます。
プロジェクト型学習ならではのデメリット
デメリットの部分でいえば、「評価が難しい」という点です。プロジェクト型学習は、問題を解決して回答が判るだけではなく、その結果について教師は評価をしなくてはいけません。さらに、プロジェクト型学習の場合、基本的にチームでのワークとなるため、チームで導き出した成果に対してそれぞれの個人の評価につなげるというのは非常に困難なのです。
そのため、生徒としては「自分が1番発言したのに、他の人と同じ評価だった」「消極的だったけど、高い評価をもらえた」など、実際の行動と評価が合致しない場合もたくさんあります。
おわりに
今注目されているプロジェクト型学習は、目標意識を高く持つことができ、コミュニケーション能力・分析力を高めることができる非常にメリットがある方法です。最近では、多くの教育機関で導入されており、学校によって方法はさまざまですが、これからの教育方法のベースになる可能性も秘めています。
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福祉系大学で心理学を専攻。卒業後は、カウンセリングセンターにてメンタルヘルス対策講座の講師や個人カウンセリングに従事。その後、活躍の場を精神科病院やメンタルクリニックに移し、うつ病や統合失調症、発達障害などの患者さんやその家族に対するカウンセリングやソーシャルワーカーとして、彼らの心理的・社会的問題などの相談や支援に力を入れる。現在は、メンタルヘルス系の記事を主に執筆するライターとして活動中。《精神保健福祉士・社会福祉士》
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