思考コードを利用した教育の可能性
思考コードは、中学入試の難易度分析に利用されるだけではありません。今後、世界基準で必要とされる学力を身につけるために役立つ分類法であり、教育の指針となる学力基準です。欧米ではすでに、思考コードのベースとなる、ブルームの教育目標分類学にしたがって教育到達目標が設定されています。
工学院大学附属中高の先鋭的な授業
東京都八王子市にある工学院大学附属中高では、思考コードをベースとした学びを実践しています。生徒自身が、いまどのような段階で学んでいるのか、これから次の段階へ進むには、どのような視点で学びを深めればよいのか、理解するために思考コードを利用しています。また、授業をデザインする教員も、しっかりしたねらいを持ってカリキュラムを組み立てるために思考コードを使います。「思考力・想像力を育む」といった漠然とした目標ではなく、具体的な到達目標を持つことで、学びの質の向上とモチベーションの維持が可能になっています。
自ら目標を立て学ぶ力を育む
前提としておさえておきたいのは、思考力・想像力は自然に生まれるものではなく、下地となる知識があってこそ得られる力だという点です。知識偏重の詰め込み教育の反動で、ゆとり教育が行われ、その揺り戻しで再び学力向上が叫ばれている日本の現状は、非常にバランスを欠いた状態だといえます。知識の習得と思考力は、ともに深めていくことが重要であり、そのために、学びの地図ともいえる思考コードが役に立つでしょう。ビジュアル的に理解できるので、どの領域の学力が不足しているのか、子ども自身が理解する助けになります。自ら目標を立て、学ぶ力は、学力を超えた一生の財産です。
おわりに
中学受験の場合、いわゆる私立難関校、国立附属中学校、私立中堅校、公立中高一貫校では、それぞれ必要とされる学力領域が異なっています。思考コードを分析して学習の方向性を決めることは、受験対策としても有効です。「学力が伸び悩んでいる」というお子さんに対しても、どの領域が苦手なのか、理解する一助になります。世界に通用するあらたな学力基準として思考コードについて理解を深めていく必要があるでしょう。
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