指導死をなくすために出来ることとは
最後に、指導死をなくすために出来ることについてお話します。これ以上、行き過ぎた指導によって、生徒が自ら死を選ぶことのないようにしていく必要があります。
不適切な指導を通報できる第三者的な窓口の設置
学校や教室といった、限られた空間で起きる指導死は、第三者の目が行き届かないという特徴があります。
そのため、特定の教師による独断での指導が横行しやすい環境とも言えるので、不適切な指導を通報できる窓口の設置が必要との声が挙がっているのです。
子どもを孤立させないフォロー体制
先生からの指導がたとえ正しいものだとしても、それを受ける生徒が悩みを抱えていた場合、心身の不調に繋がる可能性が高いと言えます。
そのため、家庭との連携を図り生徒の異変にいち早く気づけるようなフォロー体制を整えることも、指導死をなくすためには重要だと考えられています。
文部省による「生徒指導提要」の改正
文部省は多発する指導死を食い止めようと、「不適切な指導」に初めて言及し、「威圧的・感情的」「独断的」「事実確認が不十分」な指導や、「他の生徒の前で叱責する」ことなどを不適切な事例として挙げており、決して許されないと明記しています。
このような提要が公表されることで、教育現場での指導死を防ぐ可能性に繋がるでしょう。
おわりに
教育の現場では、生徒を精神的に追い詰めて、若い心を傷つけることでは何も生まれません。つまり、力頼みの指導では生徒の健やかな成長が望めないのです。そのため、子どもにとって学校は、のびやかに成長できる環境であってほしいですね。
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福祉系大学で心理学を専攻。卒業後は、カウンセリングセンターにてメンタルヘルス対策講座の講師や個人カウンセリングに従事。その後、活躍の場を精神科病院やメンタルクリニックに移し、うつ病や統合失調症、発達障害などの患者さんやその家族に対するカウンセリングやソーシャルワーカーとして、彼らの心理的・社会的問題などの相談や支援に力を入れる。現在は、メンタルヘルス系の記事を主に執筆するライターとして活動中。《精神保健福祉士・社会福祉士》
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