フィンランドの教育が世界一といわれる要因
話題になったPISA(※)は、単純な知識量を問うテストではなく、持っている知識をいかに活用できるかを問うテストであり、子どもの持つ本当の学力を調査するためのものです。フィンランドの教育が高い評価を受けている要因は、根底にある教育の理念にあると考えられています。
※経済協力開発機構(OECD)が進めているPISA(Programme for International Student Assessment)と呼ばれる国際的な学習到達度に関する調査
子どもの自主性を尊重した教育
フィンランドの教育は、子どもの自主性を尊重し、自ら学ぶ意欲を育てることを重要視しています。実験や体験プログラムを重視し、グループ学習を推進、楽しく学べる環境を整えているのです。子どもの能力を数値化して比べることをせず、宿題も少量。夏休みは宿題がありません。高校生になれば、日本の大学生のようにカリキュラムを自分で選び、始業時間もまちまちになります。子どもたちは小学生のうちから、子どもにも権利があることを学び、他者の権利を尊重し、自分も尊重されるべき人間だと学びます。幼いころからこうした環境で、自己肯定感を育み、好奇心を育てる教育が世界一になる要因のひとつです。
教師の高い専門性と能力
フィンランドでは、教師の社会的地位は非常に高く、専門職として尊敬されています。教育を学ぶための大学は狭き門で、希望者の1割程度しか進学できないそうです。教師になるためには、大学で5年間学び、修士号を得なくてはなりません。実習期間も長く、多岐にわたる研修も行われ、専門性の高い教育を受けています。そして実際の学校では、テスト、宿題、行事、生活指導、部活動がないため、授業に専念することができます。教師が子どもたちをひとりひとり丁寧に観察し、専門性を持った指導が行われていることも、子どもの能力を伸ばしていく教育の基盤です。
おわりに
フィンランドの教育環境は、確かに世界一といわれるだけのことはあります。経済格差が教育格差に直結しない、平等な教育が行われていることも重要な点です。日本は、PISAの結果としては上位グループに入っているものの、子どもたちの学習意欲の低さが問題視されています。子どもたちに本当の学力を身につけてもらうためには、大きな視点の変換が必要なのではないでしょうか。
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