ムーミンで有名な北欧の国、フィンランドの教育が、高く評価されています。国際的な学習到達度テストで毎回好成績をおさめていることが要因です。フィンランドの教育は、なぜ世界一といわれるのか?その秘密を探るため、フィンランドの教育の特徴について解説します。
PISAで注目されたフィンランドの教育
フィンランドの教育が注目を浴びたのは、2000年に始まったPISA(Programme for International Student Assessment)という国際的な学習到達度テストの結果からです。このテストでフィンランドは読解力リテラシーの分野において総合1位でした。フィンランドでは、どのような教育が行われているのでしょうか。
フィンランドの教育は保育園から始まる
フィンランドの教育は、保育園から始まっています。フィンランドの保育園は、1990年代まで、仕事を持っている親が子どもを預けるところという認識でした。しかし最近では、保育園で行われる幼児教育は、生涯教育の始まりという位置づけに変化してきています。教育といっても、学校のように机に座って学ぶのではなく、子どもたちは遊びのなかでさまざまなことを学んでいきます。クラスわけも年齢ごとではなく、異年齢のグループであったり、朝の遊びの時間は自分で遊びの種類を選択したり、それぞれの保育園で柔軟性のあるプログラムを実践しています。
1960年代から続く教育改革
フィンランドの教育は、昔からこうだったわけではありません。かつては日本と同じように、知識の習得を目的とした授業も行われていましたし、教育庁による教科書検定、分厚い学習指導要領などが存在しました。しかし、1960年代の終わりから徐々に変化が起こり、1994年にオッリぺッカ・ヘイノネン氏が29歳の若さで教育大臣に就任したとき、大きな転換期を迎えたのです。ヘイノネン氏は、資源の少ないフィンランドにおいて、人材こそが国の資源であると考え、教育改革を行いました。学習指導要領は1/3に削減され、教育に関する権限を地方自治体と現場である学校に委ねたことが、成功の要因だといわれています。
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フィンランドの教育制度の特徴
フィンランドでは、小中一貫教育が行われています。ほとんどは、地方自治体が運営する公立校です。小学校で6年、中学校で3年学んだあとは、高校か職業学校へ進学します。割合は、半々といったところです。受験やテストはなく、高校卒業時に統一テストがあるくらいです。日本の教育制度とはさまざまな点で違いがあります。
教育費は大学まで無料
フィンランドでは、子どもの教育にお金がかかりません。大学まで授業料は無料、小学校、中学校では、教科書やノートも無料で提供されます。学級費や教材費もありません。PTA組織がない(参加強制の一切ない任意団体は存在する)ので、PTA会費もありません。給食は、保育園から高校まで無料で提供されています。制服、既定の体操服もないですし、教科書は学校へ置いていけばいいのでランドセルも必要なしです。お金がかからないということは、誰もが平等に教育を受ける権利を保障されているということです。
テストも運動会も校則もない学校
フィンランドの学校には、テストも、入学式や運動会などの行事も、学校が決めた校則もありません。小学校の授業時間数は、日本の約半分といわれていて、クラスの人数も20~25人程度の少人数制になっています。4年生から数種類の言語を学ぶことができ、IT機器を取り入れた学習も盛んです。給食は食堂で各自が選ぶビュッフェスタイルで、お当番もありません。掃除は専門の業者が行います。とにかくシンプルで、子どもは学ぶことに、教師は教えることに集中できる環境が作られています。
誰もが同じ教室で学ぶインクルーシブ教育
誰もが平等に学ぶ権利があるという考え方が基本になっているため、習熟度別クラスという概念はありません。さまざまな子どもたちが同じ教室で学ぶ、インクルーシブ教育を行っています。子どもたちが一律に椅子に座って授業を受けるというスタイルではなく、座学を減らし、からだを動かしながら学習するスタイルを採用しています。ソファで寝転んで授業を受けても怒られません。日本では、授業中にじっとしていられない子は別教室で学習支援を受けるなどの対策がとられていることと比べると、大きな違いですね。
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子どもたちも大学生になり、自分の子育てはひと段落。保育士として、地域のコーディネーターとして、子育て支援・子ども支援にかかわっています。ゆる~く子育て楽しみましょう!
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