中学受験に取り組む子どもたちの平均的な家庭学習の時間は、6年生で1日3~5時間、4、5年生で1日1~3時間程度です。学校や塾での学習に加え、多くの時間を机に向かって過ごしているのがわかります。貴重な勉強時間を効率よく使うためには、適度な休憩時間が必要だと言われています。
本記事では、休憩時間の有効活用法と保護者のサポートについてご紹介します。
適度な休憩時間が勉強効率をあげる
学習効率と休憩時間の関係について、興味深い実験があります。東京大学薬学部の池谷裕二教授が(株)ベネッセコーポレーションと共同でおこなったものです。英単語を記憶する学習を、休憩なし60分学習チームと休憩あり45分学習チームにわけて実施しました。
結果、休憩ありで学習したチームのほうが記憶の定着率が高いことがわかったのです。
集中力が持続するのは15~45分
学習効率を左右する要因のひとつに、集中力があります。集中力とは、物事に意識を集め、取り組む力です。集中力が持続する時間は、個人差や年齢によって異なりますが、およそ15~45分と考えられています。
池谷教授の実験では、集中力に関係する脳波も調べられました。60分続けて学習したグループでは、開始当初から脳波の数値は徐々に下がりはじめ、45分を過ぎると一気に下降していきます。一方、15分ごとに休憩をはさんで学習したグループは、開始当初から下がりはじめた数値が、休憩のたびに開始当初レベルまで回復しました。
休憩時間は15分ごとを目安に
集中力の持続時間には、個人差があります。集中して学習に取り組むことにまだ慣れていない子や、低学年の間は15分を目安に学習を切り上げ、休憩時間をはさむとよいでしょう。休憩時間は、長すぎてはいけません。長くても15分以内にとどめておくことをおすすめします。
池谷教授の実験は、15分学習と7分半の休憩を組み合わせたサイクルでした。1980年代にイタリアで考案されたポモドーロ法という時間管理術は、25分の作業と5分の休憩時間を1ターンとしています。
受験が近い高学年になったら、徐々に学習時間をのばし、実際のテスト時間と同じサイクルで学習と休憩をとりましょう。試験中に集中力を切らさず、持続する訓練になります。
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勉強に役立つ休憩時間の過ごし方
「ちょっと休憩」と手を休めたら、いつの間にか長時間たってしまったという経験は大人にもあるでしょう。大抵は、休憩するつもりでほかに興味がある活動に集中してしまうことが原因です。とくに好きなことに関しては集中力も持続しやすく、時間を使いがちになります。休憩の目的をはっきりさせて、効果的に休みをとりましょう。
脳を休める!音楽や睡眠
休憩の目的としてもっとも大切なことは、「脳を休める」ことです。思考をめぐらせたり、記憶したり、学習中にフル回転した脳をリラックスさせましょう。学習中は、目も使っています。集中すると瞬きが減り、目は思ったより疲れていることが多いのです。
文字を読んだり、映像を見たりするよりは、目を閉じて好きな音楽を聴く、短時間眠ることのほうが脳を休めることにつながります。なにもしないでぼんやりすることが一番の休憩と言えるでしょう。
視覚情報が多いと脳は疲れるので、学習環境の整理も必要です。ごちゃごちゃした情報が無意識に目に入らないよう、整理整頓しましょう。
身体をリフレッシュする!運動やおやつ
休憩のもうひとつの目的は、「身体をリフレッシュする」ことです。同じ姿勢でじっとしていると血流が悪くなり、脳の働きを阻害します。椅子から立ち上がり、軽いストレッチをする、縄とびなどの手軽な運動をするとよいでしょう。
休憩には、甘いおやつも効果的です。脳は、身体のなかでもっともエネルギーを消費する器官であり、ブドウ糖のみをエネルギー源とします。ブドウ糖はごはんやパン、芋類などの糖質を含む食品から作られますが、即効性があるのは砂糖です。
甘いおやつや温かい飲み物は、脳と身体に栄養を与え、リフレッシュしてくれます。しかし、とり過ぎは禁物です。急な血糖値の上昇は眠気にもつながります。量には注意しましょう。
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子どもたちも大学生になり、自分の子育てはひと段落。保育士として、地域のコーディネーターとして、子育て支援・子ども支援にかかわっています。ゆる~く子育て楽しみましょう!
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