実際に木造を取り入れた小学校をピックアップ
それでは最後に、実際に木造を取り入れた小学校を見て行きましょう。全国的には、まだまだ木造の小学校は少ないですが、徐々に自然環境に配慮した考え方が浸透しつつあります。
全国初の木造小学校「魚津市立星の杜小学校」
木造3階建て全国初の小学校である、「魚津市立星の杜小学校」。この小学校では、燃えしろ設計の柱や木材を使った準耐火構造などを盛り込んでいます。
2019年の4月に開校した小学校ですが、延べ面積4950㎡の建物を3000㎡以内に区画する事で、耐火建築物ではなく1時間準耐火構造の建物として設計しています。
従来では実現する事が難しかった燃えしろ設計や、木材を被覆に使った準耐火構造の設計が、2015年の建築基準法の改正によって設計しやすくなり、木造らしい建物として実現させることができました。
全国3例目となる松田町立松田小学校
2つ目は、全国で3例目の木造の小学校となった松田町立松田小学校です。ヒノキや杉など約千立方メートルの木材を使った、延べ床面積約6千平方メートルの校舎となっています。
2015年の建築基準法改正によって校舎建築が可能となり、神奈川県では初となる木造建て替えのケースとなりました。工事では、児童が昇降口の内装作りを手伝うなど、地域の活性化に一役買ったことも話題に。津田校長は、「木のぬくもりと解放感でストレスを感じない環境を作る事が出来て気に入っている」と話しています。
教育カリキュラムに合わせて造った成城学園初等学校
3つ目は、創立100周年という節目と教育カリキュラムに合わせて木造校舎にした成城学園初等学校です。
設計は、株式会社日建設計によって行われ、「森・風・光・そして人とつながる学び舎」を基に敷地の風景を活かした、自然と親しむ教育の場を実現しました。
成城学園初等学校は、学園独自の教育カリキュラムに沿った環境が必要だとして、今回都心の杜の環境に馴染む学び舎を目指す中で、木造化の採択に至ったのです。
おわりに
木造は、従来建築基準法によって3階建てを校舎として建築する事が出来ませんでした。しかし、法改正によって全国各地で自然と共に学べる木造校舎の実現が進んでいるのです。このような小学校は、これからもっと増えて行くことでしょう。
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福祉系大学で心理学を専攻。卒業後は、カウンセリングセンターにてメンタルヘルス対策講座の講師や個人カウンセリングに従事。その後、活躍の場を精神科病院やメンタルクリニックに移し、うつ病や統合失調症、発達障害などの患者さんやその家族に対するカウンセリングやソーシャルワーカーとして、彼らの心理的・社会的問題などの相談や支援に力を入れる。現在は、メンタルヘルス系の記事を主に執筆するライターとして活動中。《精神保健福祉士・社会福祉士》
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