働くママを悩ませる“保育園問題”。出産後も仕事を続けるために、保育園に申請をしたものの…希望は通らず、どこもかしこも入園不可。最初の申請での“全落ち”は珍しいことではなく、2度3度と申請しても入園できないケースが多いのが現状。中には預け先が見つからないために、退職を余儀なくされる人もいます。今回は、待機児童の現状と、産後に退職する女性の割合、そして申請前に行っておくべき対策についてご説明します。
今年も保活落ち!?待機児童の現状
今年初めて保育園に申し込みをする人も、過去に申請を出して通らなかった人も、“待機状態”に陥るのは避けたいものですよね。しかし、希望とは裏腹に待機児童は後を絶ちません。実際のところ、待機児童はどれくらいいるのでしょうか?
待機児童の現状は?3年連続増加
厚生労働省が公表した情報によると、令和元年10月1日時点で待機児童数は4万3822人。前年と比べて3376人減少しているとのこと。都道府県別でみると東京都が最多。沖縄、千葉と続きます。国・自治体による待機児童解消への取り組みもむなしく、毎年増加しています。子どもを保育園に預けたくても預けられない、という人であふれかえっている現状…こんな話をニュースなどで見聞きし、申請する前から諦めモードのママも多いことでしょう。
「隠れ待機児童」を含めれば実態は3倍!?
日本全国の待機児童数は4万人強。しかし実際には、統計に含まれない「隠れ待機児童」も存在します。
年ごとに代わる「待機児童」の定義
厚生労働省は2001年「待機児童」の定義を変更し、その結果、この年から待機児童数は激減しました。それまで認可外保育所に預けながら認可保育所に申し込んでいる人も統計に含めていましたが、これを除外する方針に。つまり、実際の待機児童数が減ったのではなく、統計の対象を絞ったにすぎないのです。
自治体によって異なる定義
自治体によっても「待機児童」の定義は異なります。育休を延長したケースはカウントしないなど、独自の統計法によって、数字上は「待機児童ゼロ」と発表している自治体があり、社会問題になっています。実態では、公式発表の3倍ほどの待機児童が存在するといわれています。
今後、全国でカウントの方法が統一される方針ですが、果たして完全に解消されるのかは不明瞭です。仮に統計が是正されても、待機児童が解消されるのは、まだまだ先の見込みのようです。
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保育園に入れず退職するママたち
保育園に入れず待機児童になってしまったら…まず行うべきことは育休延長です。企業によっては最長2年間、子どもが3歳になるまで育休を延長できる場合もあります。延長期間中に保活を続け、途中入園できるケースもあります。しかし、年をまたがって待機状態が続く場合や、そもそも実質上、育休の延長ができない会社もあるでしょう。これらのケースでは、結果的にママが退職を余儀なくされてしまうのです。
辞めたくない!産後も働きたい人が過半数超
産後、自らの意志で仕事を辞める女性もいることでしょう。育児に専念したい、子育てをサポートしてくれる人が周囲にいない、あるいは、ママの体調の問題などさまざまな要因が考えられます。しかし、共働き世帯が増えている現代では、働き続けたいと考える人が多いようです。
半数以上が共働きを指示
世論調査によると、「子どもができても、ずっと職業を続ける方がよい」と考える人の割合は、男女ともに過半数超えの結果。男女別では、女性が63.7%。男性が58.0%です。つまり、半数以上の女性が「産後も仕事を辞めたくない」と考え、パートナーである男性も「仕事を続けてほしい」と考えているのです。
出産を機に退職する人の割合は約3人に1人
出産を機に退職する人はどれくらいいるのでしょうか?統計情報によると、出産による退職は決して少なくありません。
出産前後の退職は全体の約3割
2010年~2014年にかけての統計によると、第1子出産前後に退職した女性の割合は33・9%とのこと。つまり、3人に1人の割合で出産を機に仕事を辞めていることが分かります。
「保育園に預けられれば」との声が過半数超え
産後も働くことを希望していたものの、結果的に退職した人に対して行ったアンケートにも子どもの預け先を望む声が現われています。「就業継続に必要だったと思うこと」を質問した結果、「認可保育園・認証保育園等に子どもを預けられれば」が最も多く、正社員で53.8%、非正社員で57.6%がこのように回答したとのこと。つまり退職した人の大半は、保育園問題で仕事を継続できなかったことが伺えます。
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30代、保育士。夫と未就学児の長男・小学生の長女の4人家族。初めての出産で分娩トラブル、乳腺炎、産後クライシス、保活失敗など…数々の「洗礼」を受けた経験から『特別なことをするのではなく、地に足の着いた育児』をモットーに、日々奮闘しています。現在は認定こども園で働く傍ら、ライター業にも従事。
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