全国の4・7%の自治体で給食費を無償化
平成30年7月、文科省は「平成29年度の学校給食費の無償化等の実施状況」調査結果を発表しました。文科省が給食費の無償化に関する調査を行ったのは初めてです。調査によると、全国1,740自治体のうち、小・中学校とも学校給食の無償化を実施している自治体は76自治体。これは全体の4・4%に当たります。ほかに、小学校のみ無償化を実施する自治体が4自治体(0・2%)、中学校のみの実施が2自治体(0・1%)。小・中学校いずれかで給食を無償化している自治体は82自治体、全自治体の4・7%という結果になりました。
給食費無償化と少子化対策・地域創生
無償化を実施している自治体の特徴として、人口の少ない町村であることが挙げられます。無償化を実施している自治体のうち、71自治体(93・4%)が町村であり、これらの町村の人口はすべて3万人未満でした。さらに、1万人未満の自治体が56自治体(73・7%)を占めています。小・中学校とも無償化を実施している自治体の数が最多だったのは北海道の15自治体。割合がいちばん高かったのは、群馬県の22・9%でした。また、無償化の対象地域にある小学校の52・6%、中学校の68・4%が児童・生徒数200人未満となっています。
無償化を開始した目的として、食育の推進や人材育成、子育て支援、少子化対策や地域創生が挙げられます。無償化を実施している自治体の9割以上が人口の少ない町村であることを考えると、現時点では、少子化対策や転入の促進による地域の活性化を狙ったものが多いと思われます。
今後は給食費負担軽減の流れが進むか
今回の調査では、給食の無償化だけでなく、一部無償化や一部補助の実施状況についても結果が取りまとめられています。「一部無償化」とは、複数の子どもがいる家庭で、第2子や第3子以降を無償としたり、小6や中3など、特定学年の児童・生徒を無償としたりするものです。また「一部補助」とは、給食費か食材購入費の一部を自治体が補助するもの。全児童生徒を対象に給食費を一部補助するものもあれば、食材購入費のうちの主食や牛乳などの費用の一部を自治体が負担するものなど、形態はさまざまです。
「一部無償化」「一部補助」を実施する自治体は、合わせて424自治体あり、全自治体の24・4%。無償化・一部無償化・一部補助を実施する自治体は全体の29・1%にとどまり、70%以上の自治体では給食費の軽減は行われていません。
少子化対策と地域活性化の一環として、町村エリアで始まっている給食の無償化。現在、都市部での実施は難しいかもしれませんが、一部無償化や一部補助はこれから増えるかもしれません。
おわりに
給食の未納問題は依然として大きな問題です。「払えるのに払わない保護者」に対しては、厳しい対処で臨む自治体が多くなっています。支払いを求めていく姿勢は大切ですが、一部の自治体では3カ月納めなければ給食を停止するといった、子どもに影響を及ぼすような対応が行われているところもあります。
一方、過疎化が進む町村では、少子化対策や子育て世帯の流入を目的に給食の無償化に取り組んでいます。学校給食も教育の一環である以上、子育て支援の観点で給食を考える時代に来ているのかもしれません。
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企業取材や社史制作をメインに、子供の出産を機に教育や会計などの記事も手がけています。家族は小学生高学年の娘、夫。関心事は教育やライフプランのことなど。「これからの時代を生きるために必要な力って何?」をテーマに、日々考えています。
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