現在の日本ではインターネットの急速な発展に伴い、新聞離れが進んでいると言われています。特に、親世代が新聞から遠のく事によって、子どもが新聞を読む機会も一気に減ってきているという問題が注目されています。ここでは、新聞離れが進んでいる中で、本当に新聞は必要なのか。
また、教育現場での新聞の役割という側面からも詳しく解説します。子どもにとっての新聞の役割が分かってくるかもしれませんよ。
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新聞離れが加速する現在の日本の現状
それでは早速、新聞離れが加速する現在の日本の現状について、詳しくお伝えしていきましょう。新聞は、私たち日本人が昔から慣れ親しんだ情報ツールです。それが、現在どのような状況にあるのかを見ていきます。
2000年以降の発行部数は3割減の新聞業界
日本新聞協会の調査によると、新聞の発行部数は2000年の時点では5370万部でした。ところが、2019年になると3781万部にまで落ち込んでいて、19年間で1589万部が消え、29.6%も減少しているのです。
また1世帯当たりの部数で見てみても、1.33から0.66になりました。昔のお馴染みの光景だった電車内や職場で新聞を広げる姿も、今では少なくなっています。
学校団体の利用を期待した取り組みも
こうした日本人の新聞離れの中、新聞業界は学校団体の利用に期待した取り組みをしているのをご存じですか?
2000年に開館した日本新聞博物館は20周年を迎え、2016年のリニューアルをきっかけに、教育現場との連携をより重視した展示に再構成を行いました。現代の情報社会について学べる展示として、国内では類を見ないユニークな施設となっています。年間来館者数約4.5万人のうち、およそ半数を小中学生の団体が占めているのです。
SNS全盛で新聞離れが加速!?
現在の日本では、急速なインターネットの発展に伴って、紙媒体の情報が徐々に影を潜めてきています。
インターネットでは、自分が必要としている情報が瞬時に手に入るため、その他の情報を得る機会は、新聞を読む習慣のある人と比べると格段に下がります。
特に、小学生の子どもをもつ親は、仕事や子育てなどで一番忙しい世代でもある事から、「自分の好きな、心地いいと感じる情報さえ手に入ればいい」という風潮が強まっているとも言えるのです。
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新聞離れの原因は?肯定派と否定派の意見
こうした新聞離れの風潮が強くなっている日本の中で、親世代の中にも新聞肯定派と否定派がいると言われています。以下に、新聞離れの原因や肯定派・否定派の意見をご紹介していきたいと思います。
新聞肯定派の意見とは?
それではまず、新聞肯定派の意見を見て行きましょう。
「新聞は、興味のなかった情報も目に入ってくるのが一番の魅力。日々の情報の蓄積が、知性や教養・判断の一助になると思っている」というものから、「記事だけではなく毎日の広告も重要だし、地域のイベントやプレゼント抽選など、身近な情報を収集できるのも新聞の魅力だと思う。」などという、自分が知りたい情報以外のことも吸収できるという意見が大多数を占めているようです。
また、「新聞は、読む以外にも野菜を包んだり、家事には欠かせないアイテム。我が家では新聞がないと困ります。」「小学校などで古新聞が必要になる事が多いので、色々な活用法がある新聞は必要だと思います。」というような暮らしの中の必須アイテムとして便利だという声もありました。
新聞否定派の意見とは?
では、新聞否定派の意見としてはどのようなものがあるのでしょうか?
否定派の意見で多かったのは、「ネットやスマホがあれば、新鮮な情報が無料で手に入るので、特に新聞の必要性を感じていない。」「読むのに時間がかかるし、そもそもゆっくり読む時間がない。」「自分の欲しい情報が、ピンポイントで探せるので新聞よりも情報を収集するのに良いと思っている。」というような、効率性を重視した忙しい世代ならではの声が目立っています。
新聞離れの原因とは?
新聞離れの大きな原因としては、インターネットの急速な普及が、忙しい世代の人達の隙間時間にピンポイントで情報を収集したいというニーズと、うまく合致したという事が言えそうです。
日々、多くの情報が入れ替わる現代で、自分にとって必要な情報だけ得られれば十分だと考えている人が多いことがうかがえます。
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新聞離れを食い止めろ!教育現場での新聞人気
親世代の深刻な新聞離れが進む中で、子どもへの影響が懸念されています。最近では、新聞離れを食い止めようと教育現場で新聞を活用する動きが出てきているのです。
新聞は根拠が定かな情報が多い
大人なら、収集した情報の根拠が定かなのかを確かめてから頭に入れる事が出来ますが、子どもはそうはいきません。インターネットから入った情報を鵜呑みにしてしまう危険性があります。そうした危険から子どもを守るため、教育現場では根拠が確かである新聞を用いて、教養を高めていこうという動きが出ているのです。
あらゆる分野の情報を知れる機会が増える
特に小学生の子どもは、決められた情報だけではなく、様々な情報に触れる機会を増やすことで、知らない世界を知れるチャンスが広がります。
最近では、小学生でもスマホを持っており、ニュースや芸能記事など、ピンポイントで情報を探すにはとても便利になっていますよね。しかし、膨大な情報から記事の重要性などがひと目で分かるのは、やはり新聞には敵わないのではないでしょうか。そのような、あらゆる分野の情報を一気に知れる機会が増えるのは、子どもにとって大切な学びの機会となります。
子どもの頃から興味のある事に気づくことが出来る
他にも、新聞を教育現場で活用する理由として、子どもの頃から興味のある事に気づくことが出来るという点があります。新聞は、子どもが興味のない関連記事も多く掲載されていますよね。しかし、最初は全く興味のない記事でも、何度も目にしているうちに、読んでみようかなと興味が湧いてくる事があります。
そのようにして、今まで知ろうとしなかった分野に興味を持ち、思いがけず子どもの才能を開花するチャンスと繋がる事もあるのです。
おわりに
インターネットにはインターネットの良さがあります。日本に昔からある新聞には、インターネットでは得ることが出来ない様々なメリットがたくさんあります。今後の日本を背負っていく子どもたちにも、新聞の良さを知ってほしいものですね。
※本記事は掲載時点の情報であり、最新のものとは異なる場合があります。ご了承ください。
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福祉系大学で心理学を専攻。卒業後は、カウンセリングセンターにてメンタルヘルス対策講座の講師や個人カウンセリングに従事。その後、活躍の場を精神科病院やメンタルクリニックに移し、うつ病や統合失調症、発達障害などの患者さんやその家族に対するカウンセリングやソーシャルワーカーとして、彼らの心理的・社会的問題などの相談や支援に力を入れる。現在は、メンタルヘルス系の記事を主に執筆するライターとして活動中。《精神保健福祉士・社会福祉士》
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