小学生のあだ名問題の本質は人間関係
いじめの防止として学校があだ名を禁止することに対し、理解はできるものの違和感を覚えている保護者の方が多いのではないでしょうか。先生の間にも「あだ名禁止はいじめの本質的な解決にはならない」と考える人が少なくありません。
なぜならあだ名で呼ばれることが問題なのではなく、あだ名を呼ぶ側とよばれる側の関係が問題だからです。呼ぶ側がそう呼ばれたいと望むあだ名なら、いじめに発展することはありません。
自分でニックネームを決めるネットの世界
「呼ばれたいと望むあだ名」のヒントになりそうなのが、SNSやオンラインゲームなどネットの世界で使われるニックネームです。ネットで他人とコミュニケーションを取る際、本名を名乗る人はほとんどいません。自分で決めたニックネームを登録し、お互いにニックネームで呼び合います。
ここで重要なのはニックネームが「自分で決めた名前である」ということです。本名以外に、自分がこう呼ばれたいと願う名前で呼ばれることは、人間関係を円滑にします。あだ名のメリットと同じです。学校でも、自分で決めたニックネームをみんなに呼んでもらうようにすれば、あだ名がいじめにつながらず、そのメリットをうまく取り入れることができるかもしれません。
大切なのは嫌なあだ名をイヤと言えること
あだ名をめぐる問題で大切なのは、あだ名を呼ばれる子どもが「その名で呼ばれてうれしいのか、嫌なのか」を、クラスの中で表明できることです。嫌なことを嫌と言える環境であるためには「人が嫌がることをしない」というルールが守られていなければなりません。本当は「あだ名を禁止します」と子どもたちに言うのではなく、なぜあだ名を禁止しなければならないか考えさせる必要があるのではないでしょうか。「あだ名がなぜいじめにつながるのか」といった問題を子ども自身が考えなければ、あだ名を禁止にしてもいじめはなくなりません。
おわりに
あだ名は良い人間関係を築くメリットがある反面、呼ばれる人を傷つけることもあります。あだ名を禁止するのではなく、呼ばれる側が「そのあだ名はイヤ」と意思表示できることが理想です。意思表示できるような学級づくりに腐心するよりも、最初からあだ名を禁止してトラブルを防止するほうが合理的なのかもしれません。
あだ名禁止の是非は正解がありませんが、機会があればご家庭でお子さんとあだ名禁止について話し合ってみてはいかがでしょうか。
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いじめの防止等のための基本的な方針・文 部 科 学 大 臣 決 定
児童生徒が抱える問題に対しての教育相談の徹底について・文部科学省
LGBT意識行動調査2019・ LGBT 総合研究所
【あだ名禁止令】あだ名を禁止する校則、「賛成」は18.5%・日本トレンドリサーチ
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企業取材や社史制作をメインに、子供の出産を機に教育や会計などの記事も手がけています。家族は小学生高学年の娘、夫。関心事は教育やライフプランのことなど。「これからの時代を生きるために必要な力って何?」をテーマに、日々考えています。
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