子どものやる気をそいでしまう言葉とは?
子どものやる気を引き出す言葉かけがあるように、やる気をそいでしまう言葉の使い方ももちろんあります。良かれと思ってかけた言葉でも、子どものやる気を低下させてしまい、事態を悪くさせてしまうことも少なくありません。そのようなことがないように、「やる気をそいでしまう言葉かけ」もしっかりと覚えておきましょう。
子どもへの命令形の言葉かけはNG!
- 宿題をやりなさい!
- 早く寝なさい!
- 真面目に練習しなさい!
このような子どもへの言葉かけは、日常的によく行われるものですよね。ですが、命令口調の言葉かけは子どもの反感を買い、やる気を低下させてしまいます。人間には、「自由を侵害されると反発したくなる」という性質があるといわれています。つまり、「勉強しなさい!」と命令されると、逆にやる気がダウンしてしまうのです。命令口調で叱るような言葉かけは、やる気の向上にはつながりにくいため、注意しましょう。
率先して頑張っているところを褒めることが大切
例えば、子どもがめずらしく自主的に勉強をしていたり、スポーツの練習に励んでいたりするときがありますよね。このような時は、つい褒めてあげたり、ご褒美を与えたくなったりしてしまうものですが、実はこの言動自体が、子どものやる気の低下につながってしまう場合もあります。
人間のやる気には、自分自身からわきあがる「内発的動機付け」と、報酬などを目当てにわきあがる「外発的動機付け」というものがあります。特に、内発的動機付けはパワーが強く、長時間集中しても苦にならず、さらに自分から創意工夫をして成長していくという特徴があります。
ところが、外発的動機付けは報酬がもらえるうちは良いのですが、報酬が無くなると消えますし、必要以上の努力をしなくなってしまうのです。つまり、子どもが頑張っていることに褒め言葉やご褒美などの報酬を常に与えることで、せっかくの内発的動機付けを消してしまう可能性もあります。親は子どもを、時には静かに見守ることが大切だと覚えておきましょう。
絶対に子どもの人格否定をしないこと
子どもには未熟な部分も多く、大人と比べて、さまざまな場面で失敗することもあるでしょう。しかし、そんな時に
- 普段からだらしないから失敗するのよ!
- 俺の子なのに、なんでそんなこともできないんだ!
などという人格を否定するような言葉をかけてしまうと、子どもは反発を感じたり、自信を喪失したり、ますますやる気がなくなってしまうことも多いものです。大人の場合でも、上司などに「どういう教育を受けて来たんだ!」などと人格を否定されるような言葉で叱られると落ち込みますし、やる気も低下してしまいます。それが、人格形成の途上にある子どもに対するものだとしたら、なおさらのことです。子どもを叱る時や注意する時は、人格を否定するようなことは言わず、悪かった部分と改善点を分かりやすく伝えることが重要です。
おわりに
「子どもがどのような人物になるのか?」というのは、両親や周囲の教育や言葉かけによるところが非常に大きいですよね。子どもが大人になったとき、やる気に満ちた行動力のある人物に成長できるように、親は普段から、子どもにかける言葉には十分に気を付けていきましょう。
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福祉系大学で心理学を専攻。卒業後は、カウンセリングセンターにてメンタルヘルス対策講座の講師や個人カウンセリングに従事。その後、活躍の場を精神科病院やメンタルクリニックに移し、うつ病や統合失調症、発達障害などの患者さんやその家族に対するカウンセリングやソーシャルワーカーとして、彼らの心理的・社会的問題などの相談や支援に力を入れる。現在は、メンタルヘルス系の記事を主に執筆するライターとして活動中。《精神保健福祉士・社会福祉士》
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