デジタル教科書のデメリット
よいことばかりに感じますが、デジタル教科書を導入するデメリットも想定されています。タブレット機器がまだ高価であることも当面の問題です。損傷した際の保険や、ネット環境のフィルタリングなど、子どもたちに自由に使わせるには、まだまだ整備が必要でしょう。
視力の低下をまねく
デジタル教科書が恒常的に利用されることになると、心配なのは子どもたちの視力です。モニターをずっと見続けることになるので、視力が低下するおそれがあると心配されています。実際に、2019年夏に慶應義塾大学医学部の調査で、小中学生の近視が増加傾向にあるという報告がなされています。調査対象となった都内1400名のうち、小学校1年生では6割の子どもが近視であったということです。近視は、遺伝の影響がもっとも大きいのですが、近くのものを見続けることが近視の原因になることも広く知られています。導入を考えるうえで、健康上の問題が大きなデメリットです。
指導者の習熟度で授業格差が生まれる
デジタル教科書は、ただ単に紙の教科書をデジタルに移行しただけのものではありません。非常に有効なデータが詰まったツールなのですが、かといってAI(人工知能)が搭載されているわけでもなく、自動学習できるプログラムが組まれているわけでもなく、使い方は指導者次第という側面があります。導入したからといって、自動的に授業が面白くなるわけではなく、先生の習熟度や、そもそもの授業展開の技術によっても差が出てしまいます。この差は、デジタル教科書でない現在でもあることなのですが、使える先生と使えない先生では格差が広がるおそれがあります。
おわりに
デジタル教科書は、大変便利なものです。これから、各教科書会社の開発努力でますますよいものができていくだろうと予想されます。ハンディのある子どもたちに対しても、よりよい使い方ができるでしょう。教材を効果的に使うためには、指導力のある先生とデジタル教材を使いこなせる先生が協力して授業を行うなど、授業の在り方や学校運営にも制度改革が必要ではないでしょうか。文科省の対応に期待したいところです。
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