「知的障害」という単語を聞いて、皆さんはどのような症状を思い浮かべますか?「一人で行動できず、周りの手助けが必要な人」、「漢字の読み書きや計算をすることができない」などが挙げられるかもしれません。もちろんそれらの症状も知的障害の症状に当てはまりますが、実際は障害の等級によって症状は大きく異なるのです。今回は「知的障害」とはどういうものなのか、等級によってどのような違いがあるのかということについて解説していきます。
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知的障害とは
発達期(18歳未満)までに生じた知的機能障害により、認知能力の発達が遅れ、日常生活において第三者の手助けが必要な状態を知的障害と呼びます。ここで重要なことは18歳未満という点であり、18歳以降の外傷により知的問題が発生してもこれには当てはまりません。
知的障害を見極める基準として3つの項目が目安に提示されています。「知的能力に明らかな遅れがあること」「集団行動を苦手としており、集団で動くことができない」「発達期に起こる障害である」、これらの3つが当てはまった場合には知的障害の可能性を考えたほうが良いでしょう。
ちなみに2つ目の「集団行動が苦手」という場合は適応障害の可能性もあります。一定の年齢になっても、文字の読み書きができなかったり、計算ができなかったり、衣服の着脱が一人でできなかったりした場合には、一度診察してもらうと良いかもしれません。もちろん、脳の発達には個人差がありますから一概に決めつけることはできませんが、「もしかして?」と思った場合には専門家に頼りましょう。
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知的障害の等級を知ろう
知的障害の等級は「知的機能(知能指数(IQ))」+「適応機能」によって決まります。基本的にIQは100前後が一般的とされており、51~70が軽度、36~50が中度、21~35を重度、20以下を最重度と分類されています。そして適応機能は「日常生活能力水準」によって決まります。日常生活能力水準は、a~dがあり、aに近づくほど自立した生活が難しくなるとされています。これら二つを掛け合わせることによって、知的障害の等級がはじき出されます。表記の仕方は自治体によって異なります。
東京の場合は最重度を「1級」、重度を「2級」、中度を「3級」、軽度を「4級」としています。数字をアルファベットに変えて表記している自治体もあるようです。
知的障害の程度別症状
軽度知的障害の場合
自立した生活をすることができ、簡単な文章の読み書きが可能です。
学校生活などの集団行動をすることは可能ですが、計算や漢字の習得には時間がかかります。決まりきったことやルールなどを守った行動をすることはできますが、緊急事態には対応ができないことが多いです。
中度知的障害の場合
自発的な行動をすることを苦手とします。
衣服の着脱やお風呂に入ることなどは、指示を受ければできますが、「今日の天候に合わせた服を選ぶこと」や「プライベートゾーンを洗う」ことなどは上手にできません。平仮名の読み書きをすることはできますが、漢字の読み書きや計算などは難しいと感じるようです。そのため、お釣りの計算ができず一人で会計をすることも難しいでしょう。
重度知的障害の場合
言葉や運動機能の発達が著しく遅いので、漢字の読み書き、計算などはできません。
辛うじて平仮名の読み書きはできる場合もあるようです。衣服の着脱などをすることが難しく、入浴なども一人で行えない場合がほとんどです。場合によっては衣食住の介護が必要とされることも。簡単なあいさつや「はい・いいえ」の受け答えはできますが、「会話」となると難しいとされています。
最重度知的障害の場合
赤ちゃんと同じような状態で、文字を書けないことはもちろん、言葉を話すこともできません。「おなかがすいた」「眠い」「痛い」などは、全て身ぶり手ぶりや「あー」や「うー」と言った言葉を発することで伝えます。自分で便意を伝えることができないため、一人でトイレに行くこともできません。
また、ひどい場合には自分の親を親と認識することもできないと言われています。食事や日常生活にはサポートが欠かせない状態と言えるでしょう。ただし、訓練をすることで言葉を話せるようになることもあるようです。
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