保育士。学生時代に児童心理学を学び、幼少期の関わりがその後の人生を左右することに強い関心を持ち、自身の研究テーマとする。 3児の母で、長女の小受では全勝を果たす。現在6年目となる保育現場や幼児教室で本領発揮し、周囲から絶大なる信頼を得ている。 生活教育こどもと幼児園 http://kodomoto.tokyo/保育記事監修者プロフィール:伊藤美緒先生
保育園での使用済みオムツの持ち帰りについて、さまざまな意見が飛び交っています。やはり「ただでさえ荷物が多いのに、オムツまで持ち帰りなんて!」という保護者が多いのではないかと思いますが、これには複雑な事情があるようです。なぜ使用済みオムツを持ち帰りしなければならないのか、保育園でのオムツ処理事情、各方面からの意見も交えて解説します。
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使用済みオムツの持ち帰り、どうして?
健康状態をチェックできるといったメリットもあるとは言え、使用済みオムツの持ち帰りは保育士・保護者のいずれにも負担をかけているようです。このオムツ持ち帰り問題、保育士・保護者の負担にならないように解決できないものなのでしょうか。
捨てる場所がないのが1番の理由
オムツ持ち帰りの1番の理由は、保育園に大量のオムツを捨てる場所がないということです。園児の数が多ければ多いほど捨てるオムツも増えるわけですが、仮に50人の園児が3回オムツを交換するとすれば、1日に150枚を捨てることになります。
ゴミ収集も毎日ではないので、数日間は園で山のような使用済みオムツを保管することになります。実際に保育園側でオムツを処理しているところでも、ニオイが漏れているなどの問題が指摘されることもあるようです。また、家庭で処分するのとは異なり、保育園などの施設では使用済みオムツは事業系一般廃棄物として処理されます。
体積あたりで費用がかかることになりますが、かさばる使用済みオムツは処分費用も高額になります。園側で処分してくれている場合は、経営的にもかなりの努力をしてやってくれている、ということを知っておきましょう。
保育士・保護者の手間も増やしている
オムツの持ち帰りは、保育士や保護者の手間も増やしていることが問題として指摘されています。保護者側ではオムツへの名前書き、帰宅後のにおうオムツの処理。オムツ持ち帰りは子どもの健康状態、園での様子をさらに知るためという目的でも行われていますが、実際には「時間がたってにおっているオムツをわざわざ開いて確認するのはつらい」という声も少なくありません。
保育士側ではオムツの仕分けをすることになりますが、子どもの数によっては結構な手間になります。昨今、「オーバーワークに見合わず薄給だ」という保育士の嘆きの声が話題になっていますが、こうしたやっかいな作業も保育士の負担を増やしていると考えられます。
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オムツ持ち帰り、危険だという声も
保育士や保護者の負担も増やしているオムツ持ち帰りですが、中には「オムツ持ち帰りは危険だ」という意見もあります。やはり取り扱いに注意するに越したことはない、といえるでしょう。国のガイドラインなどにはどう定められているのか、確認してみました。
国のガイドラインには書かれていない
『保育所における感染症対策ガイドライン』には、ふん便処理の手順の徹底、交換場所の特定、交換後の手洗いの徹底、使用後のオムツの衛生管理および保管場所の消毒については記載がありますが、オムツの持ち帰りについては特に記載がありません。
このガイドラインは、使用済みオムツは保育園で処分することを前提として書かれているのかもしれませんが、このガイドラインを作った人たちがどこまで保育園の現場を把握しているかは、私たちにはわかりません。
感染症予防のためにもすぐ処理すべき
きちんと袋に入れて密封しておけばそこまで心配はいらないと言われる一方で、オムツが複数の人の手に触れるのは感染症対策を考えると望ましくなく、持ち帰りもできる限り避けるべきだという意見もあります。
子どもが触れないように速やかに処分できればベストですが、この問題を解決するのには保育園だけでなく、まずは国が対策を考えてくれることが望まれます。オムツ持ち帰りによるメリットもないわけではないですが、やはり保育士や保護者の負担、感染症の危険性などを考えると保育園で処分できた方がよいと言えるでしょう。
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台湾在住の30代。2011年日本語教師として台湾へ、2013年結婚。3歳年上の台湾人夫と猫1匹と仲良く暮らしています。2015年秋から在宅Webライターとして活動。2013年末からゆるーく妊活継続中。
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