保育士。学生時代に児童心理学を学び、幼少期の関わりがその後の人生を左右することに強い関心を持ち、自身の研究テーマとする。 3児の母で、長女の小受では全勝を果たす。現在6年目となる保育現場や幼児教室で本領発揮し、周囲から絶大なる信頼を得ている。 生活教育こどもと幼児園 http://kodomoto.tokyo/保育記事監修者プロフィール:伊藤美緒先生
学級崩壊とは、主に小学校において学級が集団教育として機能していない状態をいいます。子どもたちが教師の指導に従わないため授業が成り立たず、通常の担任の対応では解決できない状態を表しますが、その判断基準は明確には定義されていません。1990年代後半からマスコミに取り上げられ「学級崩壊」の言葉が広く知られるようになりましたが、その実態とはどのようなものでしょうか。
学級崩壊とは?どういう状態をいうの?
簡単にいえば、子どもたちが荒れるために授業ができない、それが学級崩壊です。子どもたちが明らかに反抗している場合だけでなく、一見して学級がうまくいっているように見える場合もあり判断しにくいこともあります。
学級崩壊、その具体的な様相とは?
学級崩壊の典型的な例を挙げてみると、子どもたちが授業中に集中できず私語が多くなり、ひどくなると周囲に暴力を振るったり教室から逃走する子が出てきたりして、授業が成り立たなくなる状況です。担任が問題を起こした子に注意をすると暴力で返されたり、逃走した子を追いかけていったりしていると授業の進行が妨げられます。ほかの子どもたちもざわざわしてしまい、情緒不安定になります。
クラスが「学級崩壊」したという判断基準とは?
実は学級崩壊である、という定義や判断基準は存在していません。同じ学校の教師たちなど、周囲の人たちが気づいてそう指摘する場合もあれば、当事者の子どもたちや保護者が言い出すこともあります。そんなふうに「多くの人々がそうと認める状況」があれば学級崩壊であるとみなされ、何らかの対策が施されることになります。
学級崩壊にはいくつかのタイプがある
教師に対して反抗的な態度を見せる子どもたちは、わかりやすいともいえるでしょう。学級崩壊にはその場がうまくいっているように見えるのに、全くコミュニケーションが成立していないケースもあるのです。反抗してはいないものの担任の指示に従わない、表面上はよい子を演じていても何らかの問題が水面下で進行している、また、教師の親和性が高くても、主導権は子どもたちが持っているという場合もあります。
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学級崩壊するとどんなことが起こる?
学級崩壊している教室には、授業の不成立以外にも問題が起こりがちです。荒れたり不安になったりしている子どもたちの心を表すかのように、教室も目に見えて汚れ始めるのがその一つです。汚れた環境にいると「清潔を保たなければ」という自制心が失われ、子どもの心がさらに荒れる原因になります。
授業ができないため学力が低下する
授業が成り立たないため、当然ながら子どもたちが勉強できなくなって学力が低下してしまいます。ざわざわして集中できない教室も、教師の指導が通用しないために授業が全て自習になる状況も、子どもが安心して勉強に取り組める環境ではありません。クラスの雰囲気の悪さが原因で実際に体調を崩し、欠席、遅刻、保健室やトイレに行くことで逃避する子どもも目立ってきます。
教室に汚れが目立ったり器物破損が多くなったりする
子どもたちは教師の整理整頓・ゴミ捨てなどの指導にも従わず、自分から教室をきれいにしようとしなくなります。教室が汚れたままでは汚すことへの抵抗が薄れ、落書きをしたり物を壊したりしても罪悪感が起こりません。要するに、環境が乱れることで規律を乱すことへの抵抗がなくなり、子どもの心がますます荒れるという悪循環が起こってしまうのです。
いじめがまん延して常態化してしまう
子どもたちの心が荒れるといじめがまん延します。清潔な教室はそれだけで悪いことをしづらい雰囲気がありますが、教室が汚れ規律が乱れた状況が続くと、子どもに「大人がちゃんと見ていないのだから悪いことをしてもよい」と思わせる隙(げき)を与えることになるのです。教室に誰かの悪口を落書きしたり、人の持ち物を隠したり壊したりしても罪悪感感じがなくなります。
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仕事もしながら3歳の娘の育児を頑張る高齢ママです。
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