あなたは、「小1プロブレム」という言葉を知っていますか?実は、幼稚園や保育園から小学校に上がる際に、今までと違う環境にうまく適応できずに苦しんでいる子どもが問題となっています。
子ども達が、小学校入学後もすくすくと成長していくためには、大人のサポートが必要不可欠です。ここでは、「小1プロブレム」を回避できると注目されている、「保幼小連携」の仕組みについてお伝えします。
「小1プロブレム」って何?
「小1プロブレム」とは、小学校への入学後から、子どもの落ち着かない状態がいつまでも解消されない状態のことを言います。具体的には、教師の話を聞けなかったり、授業中に教室の中を歩き回ったりするような行動が数カ月にわたって継続することを指します。
幼稚園と小学校の違いについて
幼稚園や保育所でのコミュニケーションと小学校での大きな違いは、「コミュニケーションの方法」です。幼稚園では受け身でも成り立っていたコミュニケーションも、小学校に行くと通用しなくなります。そのため小学校に上がったばかりの子どもは、自分の気持ちを伝えたり相手の意見を聞いたりすることに、難しさを抱えてしまうのでしょう。
小1プロブレムの原因は?
小学校に上がったばかりの子どもにとっての壁は、45分間の間、着席をしていないといけないことでしょう。そのため、今までと異なる環境の変化に、多くの子どもが戸惑うことになるのです。学校に適応するためには新しい習慣を身につけていかなければなりません。そういったことが難しい子どもは適応不全を起こしてしまう可能性があります。
どうしたら「小1プロブレム」を回避できる?
「小1プロブレム」を回避するには、大人が子どもの発達の状態を理解することが必要になります。そして、幼児期での学びと児童期の教育をスムーズにつないでいくことが大変重要です。つまり幼稚園及び保育園と小学校の接続の連携が肝になると言えるでしょう。
「保幼小連携」つながりのある教育を目指して
幼稚園、保育園と小学校の接続にあたっては、幼稚園・保育園の先生と小学校の先生が引き継ぎをしたり、交流することで解決する部分もあります。しかしそれよりも、幼稚園及び保育園から小学校入学後までをつながりとして捉え、それに即した教育課程を作ることが早急に求められているのです。
国が定めているポイントとは
2010年に、文部科学省は幼稚園・保育園と小学校の接続に関して、3点のポイントを示しました。それは以下の通りです。
- 幼児期の教育と小学校教育の関係を「連続性・一貫性」で捉える考え方
- 幼児期と児童期の教育活動をつながりで捉える工夫
- 幼小接続の取組を進めるための方策
今後は、これらを意識した教育のあり方がどんどん求められることでしょう。
「保幼小連携」とは何か
「保幼小連携」とは上記のような、子どもの発達や学びの連続性を保障するために、幼児期の教育と児童期の教育を円滑に接続し、体系的な教育を組織的に行っていくという取り組みのことです。また地域によって、さまざまな取り組みが検討されつつあります。
「保幼小接続」に関する地域の取り組み
例えば横浜市では入学前と入学後に育ちと学びをつなぐ、「横浜版接続期カリキュラム」を作成しています。その内容は、幼稚園や保育所と小学校のカリキュラムから作られており、理論と実践の両方を含んで構成されています。また東京都の品川区では、5歳児の10月から小学1年生の1学期を「ジョイント期」に設定した「ジョイント期カリキュラム」を作成しています。「生活する力」「かかわる力」「学ぶ力」の3つを育んでいくことが狙いです。
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福祉系大学で心理学を専攻。卒業後は、カウンセリングセンターにてメンタルヘルス対策講座の講師や個人カウンセリングに従事。その後、活躍の場を精神科病院やメンタルクリニックに移し、うつ病や統合失調症、発達障害などの患者さんやその家族に対するカウンセリングやソーシャルワーカーとして、彼らの心理的・社会的問題などの相談や支援に力を入れる。現在は、メンタルヘルス系の記事を主に執筆するライターとして活動中。《精神保健福祉士・社会福祉士》
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