テレビや雑誌に登場する、痩せてキレイなモデルやタレント。
「こんなふうになりたいな」と憧れを抱く子は多いことでしょう。しかし、痩せること=美しいことと過度に思い込んでしまう場合も少なくありません。ここでは、痩せ願望を持つ小学生やダイエットに関するデメリットなどをご紹介します。
痩せ願望がある小学生が増加している
現代はソーシャルメディアの発展により、小学生でも自分のスマートホンを持ち、ネットや動画を見ることができる時代になりました。それにより、痩せていることこそ美徳という情報も、容易に彼らの耳に入って来ているのです。その影響で、小学生の痩せ願望が高まっていると言われています。
痩せ願望がある子どもはどのぐらいいる?
2012年~2015年の間に、東京都医学総合研究所などが東京都の特定の市に住む10歳の男女4,500人にアンケートを取りました。
その結果、今より痩せたいと思うと答えた子どもの数が40%にのぼったのです。しかし、これは特定の地域と年齢に限定した調査ですので、対象を広げればさらに多くの子どもたちが痩せ願望を持っているだろうことが予想されます。
女の子と男の子で痩せ願望の差はある?
今より痩せたいと感じている子どもが40%いるという結果が示されていますが、これは男女を合算した数字です。そのため、性別ごとに分けると、その割合に違いは出てくるのでしょうか?
実際のデータを見てみると痩せ願望は、女の子では23%と高かったのに対して、男の子では17%という数字にとどまっています。
痩せ願望はソーシャルメディアの利用頻度とも関連
同上のアンケートによると、痩せ願望はソーシャルメディアの利用頻度が多い子どもの方が高いという結果が出たことも報告されています。
しかし、これも性別によって異なり、女の子はソーシャルメディアを使ったことのない子よりも使っている子の方が、1.9倍痩せ願望が高かったのです。ただ、男の子において、その差は見られませんでした。
さらに、友達との会話や宿題などの情報収集のために主にソーシャルメディアを利用している場合は、女の子でも痩せ願望との関連はないことが示されています。一方、画像や動画を発信しているサイトを利用しているケースでは、痩せ願望が生じる可能性があると考えられています。
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痩せ願望によるダイエットは危険がともなう
痩せ願望がある小学生の中には、痩せたい一心でダイエットをしてしまう子どももいます。
しかし、大人になる準備段階である思春期は、心や身体が健やかに発達するための重要な時期のため、無理なことをすると深刻なダメージを受けやすいのも事実です。
食べないことで摂食障害になるケースも
痩せるためには、食事量や回数を減らすことが有効だと思っている子どももいます。もちろん、食べて太りすぎるのは身体に良くありませんが、極端な食事制限をすると、健康を害します。
食べる=太るという観念が強くなりすぎると、食べること自体に罪悪感が生まれ、心と身体のバランスが崩れる場合もあります。その結果、食べ物を受け付けなくなったり、逆に食べ過ぎてしまったりという摂食障害に陥る可能性もあるので、注意しましょう。
女の子の場合は生理に影響が出る可能性もある
太るのは脂肪が増えるからだと考える方は、案外いるかと思います。しかし、脂肪細胞は健康を維持するための重要な役割を備えています。
例えば、脂肪細胞には食欲や代謝に関する物質が分泌されています。特に、その中のレプチンと呼ばれる物質は性腺機能の役割があり、体脂肪が15%以下になると女性ホルモンを低下させることも。そのため、生理が止まることもあり得るのです。
将来、骨粗鬆症(こつそしょうしょう)で悩む恐れが
カルシウムの量が減り、骨がスカスカになる骨粗鬆症。小学生には危機感がない病気かもしれません。
ただ、女の子の場合は15歳までに骨のカルシウム量が決まってしまうと言われています。骨のカルシウム量が高いほど骨粗鬆症のリスクは減るのですが、食事による栄養を十分に摂っていないと、そのリスクは高まるでしょう。
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福祉系大学で心理学を専攻。卒業後は、カウンセリングセンターにてメンタルヘルス対策講座の講師や個人カウンセリングに従事。その後、活躍の場を精神科病院やメンタルクリニックに移し、うつ病や統合失調症、発達障害などの患者さんやその家族に対するカウンセリングやソーシャルワーカーとして、彼らの心理的・社会的問題などの相談や支援に力を入れる。現在は、メンタルヘルス系の記事を主に執筆するライターとして活動中。《精神保健福祉士・社会福祉士》
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