個人主義のお国柄に守られたママの権利
共に先進国である日本もイギリスも、政府の支援不足や待機児童の問題など、おのおのの子育てに関する問題を多々抱えています。しかし母親として最も感じる違いは、国、文化、そして社会が母親に求める責任の重さにあるようです。
日本において求められる母の自己犠牲
イギリスに比べると、コストの面で圧倒的に保育にかかるお金が少ない日本では、金銭的には保育所などに預けたりしやすい反面、母親と子どもが一緒である時間が減ることに罪悪感を抱かせる風潮が強いように感じられます。3歳児神話という言葉の存在が示す通り、母親が子どもにつきっきりで世話をするのが当然、それができて当たり前、その責任を果たさないのは身勝手であるとする考えは、今なお根強く残っています。
頼れないイギリス政府より、みんなで協力
ロンドンでは日本の子ども手当のように、子育てを支援する政策というのはあまりありません。それどころか保育費は住宅ローンを超えるほど高く、格差の大きいイギリスの社会では、多くの家庭が共働きで生活を支えています。その結果として、政府に頼らないで子ども連れの親子をみんなで手を差し伸べあって助ける文化やサービスが育まれたのです。両親は子どもを預けて共に働く、その代わり早く帰って家庭で過ごす時間を増やし、さらに夫婦の時間を大切にするという図式が出来上がっています。そこに母親にのみ自己犠牲の圧力がかかることはありません。
自己犠牲を求めない、ママが持つ権利
イギリスの母親たちは金銭面以外の理由で極めて早期に復職するケースが多く、その理由はさまざまです。充実感や満足感、精神的健康、自らの将来とキャリアを鑑みて・・・など人によりますが、ポイントは上記の背景から、母親に母親らしくあれとする自己犠牲を強いらない文化があることです。子どもとママのストレスを低減しつつ、子育てが決して仕事に励むことを邪魔しない環境づくりに力が入れられている国、それがイギリスなのです。母親が子育てをしながら自分らしく生きることを許容されているというのは、どれほどありがたいことでしょうか。
おわりに
このように、日本とイギリスでは家族の在り方に大きな違いがあります。文化の違いや国民性の問題もあって、一概にどちらがいいとは言えませんし、そもそも宇多田ヒカルさん自身が帰国子女で海外の空気に慣れていたのも大きなポイントだったとも考えられます。しかし、日本では多くの新ママたちが肩身の狭い思いをしているのも事実です。グローバル化が進む今、こうして海外の体制に目が向くのは不思議ではないことでしょう。
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3歳の生意気盛りですばしっこい息子を育てるママです。
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