虐待を見かけたとき通報以外にできること
行政による支援は、通報することで始まります。役所が勝手にお節介を焼いてくれることはありませんから、まずは公的機関や専門家につなぐために通報を検討してください。でも、どうしても勇気が出ないときや、いまこの瞬間になんとかしてあげたい!と思うときもあるでしょう。通報以外にも、私たちにできることがあるでしょうか。
「大丈夫ですか~」と声をかける
もしかしたら通報以上にハードルが高いかもしれませんが、虐待している人に声をかけるのは有効な手段です。けして高圧的にならないように、「どうしたんですか~」「大丈夫ですか~」などと、ゆっくり声をかけられればベストです。直接言いにくければ、子どもに話しかける体で声をかけてもよいでしょう。人前で子どもに暴力をふるったり、大声でののしったりしている人は、ある意味わかりやすくSOSを発している人です。
「子どもってなかなか言うことを聞かないんですよね」と共感から入ると急に冷静になることもあります。非難するような声かけは、かえって虐待を深刻化させる恐れもありますので避けてください。「お子さんがやっていること、迷惑じゃないから大丈夫ですよ」など、虐待をやめるきっかけを出してあげるのも助けになります。公共の場で子どもを叱っているお母さんは、多くの場合、周囲の目を気にしています。
継続的に様子を見る
突発的な虐待ではなく、何度も繰り返される虐待の兆候を見かけたら、継続的に様子を見ることも大事です。いますぐなんとかできなくても、誰かが気にし続けていることが虐待の発見や防止につながります。通報に比べて、とても消極的な行為だと感じるかもしれません。しかし、行動は0か100か、でなくてもいいのです。自分ができる範囲のことをまずやってみましょう。虐待に関する知識を得ることも、虐待防止の市民活動を支援することも、意味があることです。
また、一度通報したからといって安心するわけにはいきません。児童相談所の管轄地域は広く、職員は不足がちで、虐待者は行政の援助を拒みがちです。監視ではなく、地域の親子を見守る目になってください。同じ子育て世代だからこそ気付くこともあるはずです。
おわりに
子どもを虐待してしまう親は、自分自身も大きな問題を抱えているケースがあります。自分も虐待を受けて育った人、家庭内の人間関係が破綻している人、多大なストレスを抱えて精神的に追い詰められている人などさまざまです。通報は密告ではありません。通報が、親子を救うきっかけになります。まずは「189」の番号を覚えてください。
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子どもたちも大学生になり、自分の子育てはひと段落。保育士として、地域のコーディネーターとして、子育て支援・子ども支援にかかわっています。ゆる~く子育て楽しみましょう!
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