テレビでは、定期的に子どもの虐待死のニュースが流れてきます。最近の日本でも児童虐待は日常化しているのだとも考えられます。実際、厚生労働省がまとめた報告では、児童虐待件数は年々増加し続けています。私たちが日常で虐待を見かけたとき、できることはあるのでしょうか?今回は、虐待を見かけたときの通報先と対応について解説します。
虐待の四つの定義
親が大きな声で子どもを叱っている光景を見たことはありますか?公共の施設では、程度の差こそあれ、よく見かける行為だと思います。これは虐待にあたるでしょうか?虐待を防ぐためには、どのような行為が虐待にあたるのか、理解しておく必要があります。
虐待は肉体的な暴力だけではない
厚生労働省が出しているガイドラインで定義されている虐待は、四つあります。「身体的虐待」「性的虐待」「ネグレクト」「心理的虐待」です。多くの方が目にするのは、このうちの「身体的虐待」と「心理的虐待」でしょう。子どもをたたく、蹴るなどの暴力が身体的虐待にあたります。子どもを汚い言葉でののしったり、「おまわりさんに連れて行かれるよ」などと執拗(しつよう)に脅したりすることは心理的虐待にあたります。虐待は、肉体的な暴力に限りません。
虐待加害者は実母である場合が多い
厚生労働省の統計によれば、虐待加害者は実母がもっとも多く、ついで実父となっています。被害児童の年齢は、0~6歳の就学前児童の割合が最多です。この統計は虐待通報の内訳をまとめたもので、最近の傾向としては「心理的虐待」の通報比率が高まっています。子どもへの肉体的暴力や性的な虐待は密室で起こりやすく、発覚しにくいのに比べ、「大声で怒鳴る」「罵声を浴びせる」など、心理的虐待は比較的表面化しやすいことも一因でしょう。母親が、公衆の面前で異常なけんまくで頻繁に子どもを?りつけている様子は、虐待だと疑う必要があるかもしれません。
合わせて読みたい
虐待を見つけた場合の通報先189
虐待、もしくは虐待を疑われる行為を見かけたら、市民には通報の義務があります。これは強制ではありませんが、子どものために、見て見ぬふりはしないでほしいと思います。とはいえ、行動を起こすことは勇気がいりますし、どうしたらいいのかわからなければちゅうちょしてしまうのは当然です。まずは、虐待を見つけた場合の通報先は「189」ということを覚えてください。
189へかけると児童相談所につながる
虐待通報ダイヤル「189」は、「いち早く」という語呂合わせになっています。2015年に、新たに設置された短縮番号です。189に電話をかけると、「こちらは児童相談所全国共通ダイヤルです」と自動音声が流れます。それから、近隣の児童相談所につながるようになっています。固定電話からかけた場合は、市外局番を自動で解析してつなげてくれます。ただし、児童相談所は数が少ないため、管轄地域によってはうまく振り分けができない場合があります。そうした場合は、音声ガイドに従って在住地域を入力します。スマートフォンなど、携帯電話でかけた場合は、郵便番号の入力を求められます。わからない場合は、都道府県の選択を行います。実際につながるまで、意外に手間がかかるので、管轄の児童相談所の電話番号を調べてかけた方が早いと思われるかもしれません。気力がある方は、ぜひそうしてください。
匿名での通報が可能
虐待の通報は匿名ですることができます。匿名可にしているのは、「迷ったら通報!」を推奨するための措置です。疑いがある場合は、まず通報してみてください。この番号には、「子どもを虐待してしまうかもしれない」「自分のしていることは虐待かもしれない」と悩んでいる人もかけることができます。もちろん、こうした相談も匿名で大丈夫です。189の番号は、24時間対応しています。虐待を見かけたそのときでなくてもかまいません。自分が電話しやすい時間を選んでください。
合わせて読みたい
子どもたちも大学生になり、自分の子育てはひと段落。保育士として、地域のコーディネーターとして、子育て支援・子ども支援にかかわっています。ゆる~く子育て楽しみましょう!
この記事に不適切な内容が含まれている場合はこちらからご連絡ください。