みなさまは、母子登校という言葉を聞いたことがありますか?小学校に入学する前までの子どもは、ほとんどの時間をママと過ごしますが、小学校に入学すると自然とママから離れた生活に慣れていきます。しかし、最近ではママがいないと学校に行けない「母子登校」という問題が注目されているのです。
今回は、母子登校についてお伝えします。
「母子登校」とは一体どんなもの?
それでは早速、ママが一緒じゃないと学校に行けない、いわゆる「母子登校」とはどのようなものなのかを解説していきましょう。母子登校を解決するためには、まずは母子登校の実態について把握する必要があります。
問題となっている母子登校の実態
母子登校は、不登校などの学校問題としては、まだまだ認知はされていないのが状況です。ただし、多くの学校では、一定数の子どもに見られる現象でもあるようです。母子登校を望む子どもは、ママがいないと学校に行けないとぐずりますが、一旦教室に入ってしまうと普通に一日を過ごしてくるという状態の子どもが多いのも、特徴です。
母子登校は不登校の前兆なの?
結論から言うと、母子登校に至った経緯によっては、不登校の前兆として捉えることが出来るでしょう。教育現場でずっと課題になっている不登校問題ですが、新型コロナウイルスの影響で、さらに不登校の生徒が増えてきているとも言われています。
数値的には、小中学校での不登校は過去5年の間増加しており、令和元年の最新調査では前年度よりも1万6,744人多い18万1,272人になっているとされているのです。ステイホーム期間中の生活習慣の乱れなどもあり、母子登校が不登校へ繋がってしまう危険性があると専門家も予測しています。
母子登校は統計に表れにくく発見しづらい
不登校は、何年も教育現場で課題とされている問題でもあるため、統計に表れやすいと言われていますが、母子登校の実態はなかなか統計として現れにくいとされています。なぜなら、不登校の場合は欠席扱いになるため、問題視されやすい傾向にありますが、母子登校は欠席ではなく親が付き添えば普通に登校出来ているため、発見しづらいのが現状だからです。
しかし、低学年のうちは母子登校で何とかなっていた状態でも、学年が上がるにつれて不登校になってしまうケースもあるため、楽観的に考えすぎるのは危険だと言えます。
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母子登校をする事で考えられる問題点とは?
母子登校をすれば、子どもは学校に行く場合が多いでしょう。しかし、その事によって生じる問題もあります。ここでは、母子登校の問題点にスポットを当てて考えてみましょう。
子どもがクラスに馴染めなくなる傾向に
小学校という集団生活では、毎日一緒に登校したりしながら友達関係を築いていきます。しかし母子登校をしていると、クラスの友達と仲良くなれるチャンスを逃してしまう可能性があり、クラスに馴染めなくなってしまうケースがめずらしくありません。登下校の途中は寄り道をしたり、クラスでは話せないような内緒話をしたりなど、子どもたちにとっては非常に貴重な交流の時間とも言えるのです。
ママから離れて自立する機会を失ってしまう
母子登校は、自宅から学校までママと一緒に登校するため、子どもの自立心が芽生える機会が他の子どもたちと比べると、少なくなってしまうことも考えられます。小学校に入学したばかりのときは、誰でもママと離れる寂しさなどを感じますが、毎日友達と登校している中で自然と自立心が芽生え、親との適切な距離を取る事が出来るようになって行きます。しかし、母子登校の場合、そのような機会を失ってしまう危険性もあるのです。
積極性や自発性が育ちにくくなる
母子登校をしていると、子どもは常にママに守られた安心できる状態で学校まで行く事になるので、自分で自ら動く必要性がありません。何か不都合があった時には、いつでもママの後ろに隠れる事が出来るので、自分で何かをしようという積極性や自発性が育つ機会が少なくなると言えるでしょう。
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福祉系大学で心理学を専攻。卒業後は、カウンセリングセンターにてメンタルヘルス対策講座の講師や個人カウンセリングに従事。その後、活躍の場を精神科病院やメンタルクリニックに移し、うつ病や統合失調症、発達障害などの患者さんやその家族に対するカウンセリングやソーシャルワーカーとして、彼らの心理的・社会的問題などの相談や支援に力を入れる。現在は、メンタルヘルス系の記事を主に執筆するライターとして活動中。《精神保健福祉士・社会福祉士》
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