「ランドセル症候群」とは、ランドセルに重い荷物を入れて背負うことで身体に痛みを感じたり、学校に行くのが嫌になったりする症状の総称です。
近年、教科書が厚くなって重量が増えていることが、ランドセル症候群が増える要因ともいわれています。
ここでは、ランドセル症候群の具体的な症状や、防止法についてご紹介します。
小学生の3人に1人?ランドセル症候群とは
最近、小学生の特に低学年の間で問題になっているのが「ランドセル症候群」です。ランドセル症候群とは、ランドセルに重い荷物を入れて背負うことで起きる、心身のさまざまな不調を指す総称です。
小学生の3人に1人がランドセル症候群の症状を感じているといわれています。
重い荷物を背負うことが心身に及ぼす影響
ランドセル症候群とは、重い荷物が入ったランドセルを背負って通学することで、筋肉痛や肩こり、腰痛などを訴えたり、通学がイヤになったりする症状の総称です。
通学カバンや学校用水着などの学校用品を製造するフットマーク株式会社が、全国1,200名の小学1~3年生に行ったアンケート調査によると、3人に1人はランドセル症候群の兆候が見られました。
身体に痛みの症状が出る原因は、ランドセルの中で荷物が動くことにあると考えられます。荷物がランドセルの背中側から離れると、重みが肩にかかるようになります。
また、荷物を支えるために身体が前かがみになり、背中にも負担がかかるのです。さらに、身体の痛みは子どもたちに「ランドセルを背負って学校に行くのがイヤ」と感じさせるようになります。
アンケートでは「2.7人に1人の子どもが,ランドセルが重くて通学を嫌がったことがある」「3.1人に1人の子どもが、ランドセルを背負うと身体の痛みを訴えたことがある」という結果が出ています。
6割以上の子どもが許容以上の荷物を背負う
ランドセル症候群の原因は、重たい荷物を背負っていることといわれています。では、小学生にとって「重たい」重さとは具体的にどれぐらいなのでしょうか。
アメリカでの研究によると、背負う荷物の重さは体重の1割までにすることが望ましいとされています。小学1~3年生の平均体重は約25㎏なので、許容の重さは2.5㎏以下で、これ以上は子どもにとって負担となる重さです。
しかし、アンケートによると、実際に背負っているランドセルと荷物の重さは3.97㎏。子どもたちの65.8%が、3㎏以上のランドセルと荷物を背負っているという結果が出ました。
つまり、6割以上の子どもがランドセル症候群になっているか、これからランドセル症候群になるリスクがあるのです。
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ランドセル症候群の原因は教材の増量
ランドセル症候群のおもな原因として挙げられるのが、ランドセルの中身が重くなったことです。特に教科書のページ数が増えたことが、大きく影響しているといいます。ランドセル自体の容量や重さも親世代より大きくなっていますが、背負う子どもの負担を減らす工夫がされています。
教科書のページ数は15年間で1.7倍に
2005年度と2020年度で小学1~6年生の全教科の教科書のページ数(各出版社平均)を比較すると、2005年度の4,857ページに対し、2020年度は8,520ページに増えています。15年間で全教科の教科書のページ数は、1.7倍になっていることがわかります。
道徳や英語が必修になったり、各教科で副教材があったりするなど、親世代に比べて配布される教科書や副教材の数は増えています。また、特に算数や社会科の教科書は、この15年でページ数の増加が目立ちます。
ランドセル自体は負担を軽くする工夫が
今のランドセルは親世代のものと同じではありません。親世代の教科書はB5サイズが主流でしたが、いまはA4サイズが主流になっています。教科書の大きさに合わせ、ランドセルも教科書に対応するため、以前よりも一まわり大きくなっているのです。
親世代のランドセルよりも軽くて丈夫な素材が使われているものの、容量は大きくなっているため、重量も重くなっています。しかし、子どもが背負ったときの負担を軽減するため、背当て部分や肩ベルトの形状や素材、金具などに工夫が施されています。
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企業取材や社史制作をメインに、子供の出産を機に教育や会計などの記事も手がけています。家族は小学生高学年の娘、夫。関心事は教育やライフプランのことなど。「これからの時代を生きるために必要な力って何?」をテーマに、日々考えています。
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