コミュニティスクールとは、「学校運営協議会」を設置している学校のことです。協議会には、先生や保護者だけではなく、ボランティアや民生委員など、地域住民も参加します。地域全体で学校を支え、子どもを育てる取り組みです。本稿では、コミュニティスクールの構想と期待されるメリットについて解説します。
「コミュニティスクール」とは「学校運営協議会制度」
コミュニティスクールは、2004年に文部科学省が「地方教育行政の組織及び運営に関する法律」に基づいて推奨している取り組みです。「特殊な教育形態の学校」と勘違いされがちですが、既存の学校運営をよりよくおこなうための「学校運営協議会」を設置した学校の意味です。
目的は「地域とともにある学校」運営
コミュニティスクールの目的は、学校運営を地域住民とともに考え、子どもにとってよりよい環境を作ることです。
教育委員会と学校長、学校運営協議会の三者が学校運営について話し合い、協働して、子どもの育ちを支える仕組みになっています。学校運営協議会の委員構成は、保護者の代表、知見のある地域住民、地域学校協働推進委員(CSマイスター)です。
委員の任命は教育委員会がおこないます。学校運営協議会に設置義務はありませんが、国はモデル構築のための予算を確保し、全国の学校へ導入を呼びかけています。
PTA・学校評議会とは別の働きをする
元来、学校運営は教職員のみでおこなわれるものではありません。すでにPTAと学校評議会が協力組織として学校運営に携わっています。しかし、学校運営協議会はこれら既存の組織とは異なる働きをします。学校運営協議会のおもな役割は以下の3つです。
- 校長が作成する学校運営の基本方針を承認する
- 学校運営に関する意見を教育委員会又は校長に述べることができる
- 教職員の任用に関して、教育委員会規則に定める事項について、教育委員会に意見を述べることができる
PTAは、教職員と学校に子どもを通わせている保護者の集まりです。教育委員会などに要望書として意見提出することができますが、学校運営協議会のように強い権限を持ちません。学校評議会では、校長に任命された地域の有識者が学校に意見を述べることができますが、こちらも参考意見としてとどまります。
学校運協議会の意見は拘束力を持ち、教育委員会、学校長に説明責任を求めることが可能です。教育委員会、学校長と同等程度の権限を持ち、ともに学校運営を担う責任ある組織だといえます。
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「コミュニティスクール」のメリット
コミュニティスクールを推進することは、地域と学校において大きなメリットがあります。
子どもを地域で育てる意識が高まる
教職員と保護者で運営するPTAは、子どもの教育環境を改善するためにさまざまな働きをしています。しかし、多くの保護者は子どもの卒業とともに学校にかかわることができなくなります。在学中に問題だと考えていた事例が解決しないまま子どもが卒業を迎えれば、問題はそのままです。
たとえば、通学路の安全確保のための信号機、ガードレールの設置や、不登校児への対応、支援の拡充など、自分の子どもが卒業したからそれでよい、と言えるでしょうか。
学校運営協議会があることにより、保護者は引き続き学校運営に積極的にかかわることができ、自分の子どものみならず、地域の子どもの環境をよりよくするための活動を続けられます。
学校運営協議会には、長年地域の大人として学校区域で生活し、子ども達を見守ってきた大人も参画する余地があるからです。「地域で子育て」の意識が高まり、学校と家庭、地域の連携が進むことは、子どもの生育環境の向上につながるでしょう。
学校の課題を地域でサポートできる
政府の働き方改革推進により、学校教職員の仕事量の多さに注目が集まりました。書類作成の過多、休日の部活動指導、手当のない残業時間など、教職員の過剰労働により、担い手不足も懸念されていますこうした課題を学校内の問題にとどめず、地域の課題として協議し、適切なサポートを提案できるのが学校運営協議会の強みです。
子どもの文化芸術体験活動やキャリア教育、部活動のサポートなど、通常教科以外の活動に対して、地域の人脈を利用し、新しい取り組みを進めることもできます。学校運営協議会を、個々の学校に設置することが難しい場合は、複数の学校を対象に設置することが可能です。中学校区にひとつ設置し、小学校・中学校の連携をはかっている地域もあります。
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