みなさんは「きょうだい児」という言葉を聞いたことがありますか?きょうだい児は、自分は障害を持っていないにもかかわらず、きょうだいを支えなければいけない使命感を持っていたり、きょうだいのことを大切にできず、罪悪感を持っていたりなど、数々の悩みを抱えています。
今回は、そんな「きょうだい児」の考え方の特徴を知り、きょうだいの障害と向き合うための対応方法をお伝えします。
きょうだい児のかかえる悩みの特徴
きょうだい児とは、知的障害や精神障害、身体障害を持つ人の兄弟姉妹のことを言います。兄、姉、妹、弟のどれでも指すことができるよう、「きょうだい」はひらがなで表記されているそうです。
また、きょうだい児は成長の時期によって、様々な悩みを抱えることになります。以下に、それぞれの悩みの特徴についてお話しします。
幼少期のきょうだい児の悩みとは?
まずは、子どもの頃に抱えがちな悩みについてみていきましょう。
障害を持った子どもが生まれた時、両親は基本的に、障害がある子のことで頭がいっぱいになってしまいます。障害があるということで、「この子は誰かがいないと何もできないから」と、つきっきりになることが多いのです。
そのため、親はきょうだい児に対して、「あなたは自分でできるでしょ」「手が離せないから自分でやって」などというような言葉をかけ、寂しい思いをする人が多いと言われています。
学生時代の「きょうだい児」の悩み
きょうだい児は年齢を重ねるうちに、「自分の家庭は他の家庭とは違うのだ」ということを感じ取るようになり、そのことがストレスになってしまうことも。
例えば、きょうだいのことを大切にしないといけないと思う気持ちはあるものの、そのストレスから両親にきつく当たってしまったり、問題行動を起こしてしまったりする人もいます。
また、幼い頃から親に認めてもらうことが少なかった経験から、自己肯定感が低くなってしまう場合もあるようです。
成人後もきょうだい児としての悩みはある
大人になると、結婚する際にどうしようかと悩んでしまう人が多くいます。どんなに当人たちが愛し合っていたとしても、自分たちの子どもも障害を持って生まれてくるのではないかと心配して、結婚を諦めてしまうケースもあるようです。
また、周囲が次々に幸せを掴んでいく様子を見て、「どうせ私には無理だ」と悲観的になってしまう場合も。さらに、親が亡くなった後のことを考え、途方に暮れる人も少なくありません。
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きょうだい児の障害への捉え方の特徴
きょうだい児には、障害を受け入れることができるかできないかなどを含め、いろいろな特徴があります。親と一緒にきょうだいの世話をする人もいれば、きょうだいのことを隠したいという気持ちを持っている人もいます。
ここでは、「きょうだい児」が、どのようにきょうだいの障害を捉えているか、3つの特徴を挙げながら説明します。
親と一緒にきょうだいを見守るタイプ
障害に対して、自分自身でも勉強をし、きょうだいのために何かできることはないかと考えているタイプです。
親が献身的にきょうだいに尽くしている姿を見ることで、自分も親に協力したい、何かできないだろうかと優しい気持ちで行動することができます。
将来的に、障害者福祉を学んだり、その分野で働いたりして、さらに理解を深めようとする熱心な人もいます。ただ、自分の人生で成し遂げたいことに対して我慢をしてしまう人もいるので、注意が必要です。
不満や怒りをぶつけてしまうタイプもいる
障害を持つきょうだいのことを恥ずかしいと感じ、自分が我慢をしていることに対して憤りを感じてしまうタイプです。その不満が大きなストレスとなり、問題行動を起こすことで、親に反発しようとします。
そのことで、親から怒られたりすると、さらに怒りが大きくなってしまうようです。中には、きょうだいに障害があることを隠して生きている人も多く、そのことで罪悪感を抱えてしまうこともあります。
不安や申し訳なさを感じてしまうタイプ
障害を持つきょうだいに対して何かしてあげたいと思うものの、障害についての知識がなく、どう接したらいいか分からず申し訳なくなってしまうタイプです。
また、障害がある人が家族にいることで、自分に対して不利益なことがあるのではないかと不安に思ってしまうこともあります。直接怒りをぶつけることがないため、自分の心の中でモヤモヤした気持ちが溜まってしまうことが少なくありません。
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福祉系大学で心理学を専攻。卒業後は、カウンセリングセンターにてメンタルヘルス対策講座の講師や個人カウンセリングに従事。その後、活躍の場を精神科病院やメンタルクリニックに移し、うつ病や統合失調症、発達障害などの患者さんやその家族に対するカウンセリングやソーシャルワーカーとして、彼らの心理的・社会的問題などの相談や支援に力を入れる。現在は、メンタルヘルス系の記事を主に執筆するライターとして活動中。《精神保健福祉士・社会福祉士》
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