多くの小学校で取り入れられている「自学ノート」。小学生のうちに自分でテーマを見つけて学ぶ「自学」という学習スタイルを身に付けることは、文部科学省が唱える「確かな学力」につながるだけでなく、高学年においては中学校への準備としても重要なことです。ここでは、自学ノートの目的やテーマの選び方などについてご紹介します。
多くの小学校が取り組む「自学ノート」
小学生の保護者の方なら「自学ノート」というものを聞いたことがあるのではないでしょうか? 「自学」とは「自主学習」のことで、先生が出す宿題ではなく、自分でテーマを決めて取り組んだことを書くノートのことを「自学ノート」とよんでいます。全校挙げて「自学ノート」に取り組んでいる小学校も少なくないでしょう。
学ぶ意欲と問題発見・解決力を身に付ける
文部科学省は義務教育で身に付けるべき力として「確かな学力」を挙げています。「確かな学力」とは、「知識や技能はもちろんのこと、これに加えて、学ぶ意欲や自分で課題を見付け、自ら学び主体的に判断し行動すること。よりよく問題解決する資質や能力等まで含めたもの」と定義されています。
知識や技能の習得は学校の授業や宿題、テストなどを担う部分ですが、学ぶ意欲や課題発見、課題解決の部分はなかなかカバーできません。意欲・課題発見と解決の力を養うものとして期待されているのが自学であり、自学ノートに取り組む目的といえます。
自学に取り組むかどうかは、あくまでも児童の自主性に任されているため、毎日取り組むことは義務付けられていないようです。1回の自学ノートで、1ページから見開き2ページ程度の量を書いていることが多いです。
NHKで紹介 7年間続けた自学ノート
2019年秋、「NHKスペシャル」でひとりの男の子の自学ノートが紹介されました。彼は小学3年生から中学3年生までの7年間、20冊以上の自学ノートを作り続けました。
珍しい時計の展示を紹介する新聞記事をみたのは、彼が小学3年生のときでした。それをきっかけに時計店へ出かけた彼は、展示されていたからくり時計を調べ、写真と文章で詳しくノートにまとめました。
さらに時計店の社長と知り合いになり、時計店に関する記事をスクラップしたり、社長との交流の様子を自学ノートに綴ったりしたりしています。社長との交流は断続的に7年間も続きました。 引用元:NHKスペシャル
ひとつの新聞記事をきっかけに行動し、人と交流し、学びを深めていった様子がよくわかります。
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小学生の自学ノートのテーマ選び
自学ノートをつくるとき、子どもはテーマ選びに悩みます。週に1回、自学ノートを課せられているような学校だと、次第にネタ切れになってくるのではないでしょうか。
ネットで検索すると、自学ノートのアイデアを提供しているブログがたくさんヒットするので、参考にしてもよいでしょう。また「自学の手引き」が配布し、自学のヒントを提案している小学校もあります。
ここでは、これらのものを参考に自学ノートのテーマをいくつか挙げてみました。
学校の予習・復習も立派な自学のテーマ
低学年では、宿題以外に文字を書いたり計算したりする機会を持つことが、自学ノートの多くなテーマの一つになっているようです。日記や読書感想文を書いたり、学校で習った漢字や計算の復習をしたりことで、りっぱな自学になります。またネット上には、無料の教材プリントを提供しているサイトもあるので、上手に活用するとよいでしょう。
4年生以上では、理科や社会科の予習がおすすめです。6年生なら社会科で日本の歴史を習うので、興味がある時代の年表をつくったり、歴史上の人物についてインターネットや本などで調べたことをまとめたりするといいでしょう。歴史上の人物ならネタに尽きることがありません。
身の回りのことやニュースなどを糸口に
先ほど紹介した7年間自学ノートを書き続けた男の子のように、新聞記事やテレビ・ネットのニュースをきっかけに、興味を持ったことについて深堀りしていくのも自学の定番です。ニュースのような高尚な話題以外にも、アニメやマンガをとっかかりにするのもいいですね。
今のマンガはベースに古典や神話がベースになったものが少なくなく、筆者の子どももマンガをきっかけにギリシャ神話に興味を持ち、自学のテーマにしていました。
低学年なら、子どものクラスメートの中に自作の迷路やなぞなぞを自学ノートに書いていた子もいました。学校の教科に直接結びつく内容でなくてもかまわないのです。
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企業取材や社史制作をメインに、子供の出産を機に教育や会計などの記事も手がけています。家族は小学生高学年の娘、夫。関心事は教育やライフプランのことなど。「これからの時代を生きるために必要な力って何?」をテーマに、日々考えています。
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