「我が子がかわいいので、悲しい思いをしてほしくない」「学校での勉強やスポーツは、他の子どもよりもできるようになってほしい」。このような思いを抱いている保護者の方は多いことでしょう。いつの時代でも、親が子を大切にする気持ちに変わりはありません。しかしその気持ちも度を超してしまうと過干渉となり、子どもに良い影響を与えないことも出てきます。
ここでは、保護者が子どもへ過干渉をしたくなる理由や対処法などについて、ご紹介します。
自分が過干渉だと思っている保護者の割合
過干渉とは、子どもが自分の思う通りに成長してほしいがゆえに、子どもの考えや行動を束縛・制限する言動のことです。例えば、「勉強の妨げになるから、漫画は読んではダメ」「外は危ないから、自宅以外では遊ばないで」などと子どもに言ってはいませんか?また無意識ではなく、自分が過干渉になっていると感じている保護者は、どのぐらいいるのでしょうか?
保護者の過半数は過干渉を自覚している
Eテレで放送している、あるテレビ番組が保護者341人に「自分を過干渉だと思う?」というアンケートを行いました。すると、「そう思う」と答えた方が50%以上にのぼったという結果が出ています。過干渉をしている保護者は無意識にそうしていると思いきや、実際には頭では理解しているけれど、言葉や行動がついていかないという方が多いことがうかがえますね。
子どもへの過干渉にはどういうものがある?
過干渉とひとくちに言っても、過干渉だと子どもに捉えられる言動にはさまざまなものがあります。例えば、以下のようなものが考えられます。
1日に1回は、子どもに「~しなさい」などという支持的な言葉を使っている
月に2回以上は自分の気持ち(イライラや怒りなど)が原因で、子どもを叱ることがある
子どもとの会話の半分以上が、勉強の話になっている
家庭内で子どもに守らせているルールが5個以上ある
子どもが気乗りしない習い事などに通わせている
近頃、子どもに言った言葉が原因で子どもが引きこもったことがある
直近3カ月以内に、子どもが保護者に暴言を吐いたことがある
NGな言動をすると、即過干渉になるの?
上記にご紹介したような言動をしてしまったからといって、絶対に子どもに過干渉しているというわけではありません。どのような保護者も、多かれ少なかれ似たような言動をすることもあるでしょう。しかし上記の言動をいつも続けており、3個以上当てはまるという方は、過干渉をしている可能性が大きいと言えます。ただ、これはあくまでも目安ですので、自分の子どもへの接し方を見つめなおすきっかけにすると、効果的です。
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なぜ過干渉をしてしまう?その理由について
過干渉をしていると思っている保護者が50%以上いるのに対し、なぜ過干渉がやめられないのでしょうか?それには保護者自身の価値観や育ちなども影響していると言われています。そのいくつかの理由について、お伝えします。
子どもは自分の所有物だという考えを持っている
保護者と子どもは別々の個人ではありますが、特に子どもが小さな頃は「親が守るべき」「子どものことをいろいろと考えてあげる責任がある」と思ってしまいがちです。それによって保護者と子どもは一心同体なのだという錯覚を起こしてしまうこともめずらしくありません。つまり子ども=保護者自身になり、子どもは自分とすべて同じだと感じるのです。
子育てが過度な趣味や生きがいになっている
保護者は、子どもを育てる義務があります。つまり子どもの気持ちに寄り添いながら、良いことと悪いことの分別を教えたり、子どもがのびのびと成長できるように守ってあげることが重要なのです。しかし子どもがかわいいからと自分の満足の行くような言動ばかりを繰り返したり、子どものすることすべてが気になり、趣味や生きがいのようになってしまっているのなら、それは子育てではなく子どもを支配しているだけかもしれません。
保護者自身が過干渉な家庭で育った
過干渉になってしまうのは、保護者自身が過干渉な親のもとに育ったからという可能性もあります。過干渉な家庭で育った経験があれば、そのような子育てが当たり前のように映ってしまうことも少なくありません。保護者としてはそれが違和感のない子育てになっているので、自分が家庭を持つと同じような言動で、子どもに接する傾向にあると言えるでしょう。
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福祉系大学で心理学を専攻。卒業後は、カウンセリングセンターにてメンタルヘルス対策講座の講師や個人カウンセリングに従事。その後、活躍の場を精神科病院やメンタルクリニックに移し、うつ病や統合失調症、発達障害などの患者さんやその家族に対するカウンセリングやソーシャルワーカーとして、彼らの心理的・社会的問題などの相談や支援に力を入れる。現在は、メンタルヘルス系の記事を主に執筆するライターとして活動中。《精神保健福祉士・社会福祉士》
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