「親ペナルティ」という言葉を耳にしたことはありますか?諸説ありますが、子どもの有無によって変わる、幸福度のギャップを指すそうです。親になると育児に追われて、生活の満足度が下がる…あなたはこの考えに賛成ですか?反対ですか?今回は親ペナルティについて、あまり知られていない欧米での解釈も交えてご説明します。
親ペナルティとは?にわかに炎上中!
「親ペナルティ」という言葉が注目されています。「親」に「ペナルティ」と聞くと、ドキッとするフレーズですよね。親ペナルティは社会学の言葉で「子持ちの人と、子どもがいない人との間にある、幸福度のギャップ」とされています。「子持ちの親は幸福度が低い」という統計があり、そこから親ペナルティという概念ができそうです。
しかし、子どもの有無と幸福度を結びつけることに、ネット上では賛否両論。また、言葉そのものの出どころや「本当に専門用語として存在するの?」といった、情報の信ぴょう性を疑問視する声も多いようです。
親ペナルティとは?子どもの有無と幸福度
親ペナルティは当初、子どもの有無によって変わる「幸福度のギャップ」を表す言葉として登場しました。これが派生して「子どもを持つと幸福度が下がる」「子持ちの親は幸福度が低い」といった議論が広がりました。
果たしてこれは本当でしょうか?幸福度のギャップを裏付ける情報として、内閣府経済社会総合研究所が公表している2013年の調査結果があります。男女1万0440人を対象に「現在の幸福度」「生活の満足度」などをたずねたところ、次のような結果でした:
「子どものいる若年層の女性は、子どもがいない同年代の女性に比べて、現在の幸福感、生活満足度、5 年後の幸福度のいずれもが低い傾向にあることが明らかになった。」
つまり、子持ちママは子どものいない女性より総じて幸福度が低いということ。政府統計でこのような結果が出ているとは、見過ごせない情報ですね。
男女でも違う!子どもがいる人の幸福度
同調査では女性だけでなく男性にも同様の質問をしています。なんと男性に関しては「幸福度の差は存在しない」との結果が出たのです。
同じ子持ちなのに、なぜママとパパでこのような違いがあるのでしょうか?その理由として、子育てにまつわる負担が挙げられています。夫婦共働きでもママの方が家事育児に時間を割いているケースが多いといいます。また、最近ではママだけが育児の担い手になる「ワンオペ育児問題」も社会問題になっていますよね。
合わせて読みたい
日本と海外で違う?親ペナルティと子育て支援
親ペナルティは子育て世帯への支援が薄いアメリカを中心に浮上した問題、という説がありますが、これには諸説あります。ここでは欧米諸国での親ペナルティのとらえ方と、日本の子育て支援の問題を考えてみましょう。
そもそもペナルティとは?英語での意味
「ペナルティ(penalty)」は「罰」と訳されることが多いものの、「負担」や「不利益」という意味もあります。欧米では親ペナルティというと経済的負担や社会的不利益を指すことが多いようです。
Parents penalty (ペアレンツ・ペナルティ)
子育て世帯の経済的負担や税負担。子どもがいる層といない層を比較する場合もありますが、子どもがいる家庭を世帯収入で分けた際、「富裕層と低所得層に比べて、中間層は税金メリット(納税額に対する福祉支援の恩恵)が少ない」という研究結果)が有名です。
Motherhood penalty (マザーフッド・ペナルティ)
子持ちの女性が受ける、社会的な不利益。昇給、昇進、就職で不利な扱いを受けることが社会問題化しています。
日本の子育て支援と幸福度の問題
子持ちの親を取り巻く問題は世界各国に存在しますが、“親ペナルティ”イコール“幸福度の低下”というのは、日本限定の話題かもしれません。
今、日本では子育て支援の手薄さが問題になっています。政府統計によると家族を支援するために支給される給付金が、日本はヨーロッパ諸国の2分の1以下、という情報があります。
保育園の待機児童問題も深刻です。子どもの預け先が見つからないから仕事を辞めざるを得ないというケースも出てきています。なんとか預け先を確保して職場復帰しても、今度は家事と仕事の両立が大変です。子育て中は受難の連続。幸福度の低下にも、うなずける面はありますよね。
合わせて読みたい
30代、保育士。夫と未就学児の長男・小学生の長女の4人家族。初めての出産で分娩トラブル、乳腺炎、産後クライシス、保活失敗など…数々の「洗礼」を受けた経験から『特別なことをするのではなく、地に足の着いた育児』をモットーに、日々奮闘しています。現在は認定こども園で働く傍ら、ライター業にも従事。
この記事に不適切な内容が含まれている場合はこちらからご連絡ください。