離婚の原因は、性格の不一致やパートナーの不貞など千差万別です。しかし、そのような事実がなくても、妻が実家に依存しすぎたために離婚になったという夫婦も、現代では増えているといわれています。実家依存症とはどういうものなのか、その治し方にはどのようなものがあるのかをご紹介します。
実家依存症とは一体どういうもの?
昔の日本では、「結婚したら実家の敷居はまたぐな」といわれて育った女性たちもいたといわれています。しかし、現代では「結婚しても娘に変わりはない」と考える親も増え、娘も実家を頼り続けるというケースが目立ってきています。このように、妻や母の役割を休み、実家に入り浸ってしまうことを実家依存症と呼んでいます。
心地が良い実家に入り浸ってしまう
戦前の日本は、男性が家を継ぐという風習が色濃いものでした。当時の女性は養子を取らない限りは、実家から離れて、親を頼りにしにくい雰囲気があったといわれています。しかし、現代では「家を継ぐ」という習慣は薄れ、娘が結婚後も実家に顔を出すことは当たり前な世の中となっています。特に、親も「男の子より話しやすい」ということで、結婚後も娘を頼りにし、娘も実家というよりどころがあるからこそ、夫への家事を二の次にして、居心地の良い両親のもとで過ごすことが増加している傾向にあります。
夫婦げんかをするたびに実家に避難する
現代では、結婚しても娘が実家の近くに住むパターンが多くなっているとされています。なぜなら、相談事があった時や子どもの世話を頼む時、夫側の両親に任せるより、自分の親に頼った方が遠慮もいらずに便利だからだという理由があるからでしょう。しかし、夫婦間がうまく行っている時なら良いですが、争いなどで関係に溝ができた時に、仲直りの努力をするよりも、実家に避難した方が楽だと感じ、頻繁に実家に帰る妻もいます。それが数多くなると、実家依存が始まってしまうこともあり得ます。
夫が「帰ってきて」と頼んでも聞き入れない
実家は妻にとって、どんなワガママでも聞き入れてくれる場所でもあります。両親も結婚した子どもには厳しく接しなければならないと思いながらも、特に娘の場合は男性よりも体力的に弱いということもあり、ついつい甘やかしてしまいがちです。親が絶対的な味方になってくれていれば、娘も苦労して夫といる意義が持てなくなり、夫のもとにかえるメリットを感じなくなる場合もあります。たとえ、夫が帰ってきてくれと頼んでも、耳を貸さなくなってしまう可能性もあるでしょう。
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なぜ起こる?妻の実家依存の原因とは
昔から、夫がマザコンで困るという妻の問題は表面化していました。しかし、現代では家を継ぐという日本の習慣は崩れ、結婚は個人の問題だという考え方に変化してきているといわれています。その分、妻側は自由に実家と行き来できる環境になっています。これらの背景が、実家依存の原因となり得る場合もあるのです。
妻が過干渉や過保護で育てられた
現代は、都市化や核家族化にともない、子どもが家族以外の人と触れ合う機会が減ってきています。それにより、親と子どもの関係が近くなり、過干渉や過保護に育ててしまう場合が増加しているといわれています。親以外に周囲の人たちが子どもと触れ合う機会があったなら、客観的な視点で物事を判断し、時には子どもの誤りに対して注意をすることもできます。しかし、子どもの親は主観的にわが子を判断しがちですので、しつけをするよりもかわいがることばかりをしてしまいがちです。
母親との関係が密接であることが原因
マザコン夫が母親に大きな影響を受けるのと同じように、実家依存になる妻は、母親の影響を受けがちです。戦前は、親を敬うという習慣があり、母親と娘が同等の立場で付き合うことは少なかったようですが、現代では母親と娘が、まるで友達のような関係を築いている場合もめずらしくありません。そのような母子関係を持つ親子は、母親と娘の考え方や行動が、まるで一人の人間のように同一化してしまっているものです。そのため、妻の夫であっても、近づくことが難しいケースもあるといわれています。
妻方の親が娘の希望をすべて受け入れる
結婚後も、娘が実家に頻繁に帰ってきて、親とも変わらず仲良くしてくれたのなら、娘の親も心地よい気持ちに浸ることができます。そのため、結婚したといっても、寂しい気持ちになることがなく、娘が帰ってきてくれることを肯定的に捉えるようになります。だからこそ、娘の希望はすべて受け入れたいという気持ちになってしまいがちです。ゆえに、娘がワガママな言動をしても、親が希望をかなえてしまい、娘はより実家にとどまるようになる傾向があります。
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福祉系大学で心理学を専攻。卒業後は、カウンセリングセンターにてメンタルヘルス対策講座の講師や個人カウンセリングに従事。その後、活躍の場を精神科病院やメンタルクリニックに移し、うつ病や統合失調症、発達障害などの患者さんやその家族に対するカウンセリングやソーシャルワーカーとして、彼らの心理的・社会的問題などの相談や支援に力を入れる。現在は、メンタルヘルス系の記事を主に執筆するライターとして活動中。《精神保健福祉士・社会福祉士》
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