近年、「イクジイ」や「ソフリエ」などのことばに象徴されるように、育児に積極的に関わる祖父たちの輪が広がってきています。祖父母にとって孫は「目に入れても痛くない」ほど、かわいくてならない存在。ひと昔前では考えにくかったほど献身的に孫育てにいそしむじいじも少なくないようです。ここでは「イクジイ」の孫育てについてご紹介します。
「育児」奮闘するおじいちゃんたち
娘や息子に頼まれて、孫を預かったりお世話をしたり、という育児支援をする祖父母は多くいます。しかし、中には保育園の送り迎えから子どもの宿題、入浴、食事のお世話までを引き受ける「スーパーイクジイ」も登場。育児に関わりをもつ男性の輪は、父親のみならず祖父にも広がっているようです。
ジジチャリで送迎、食事にトイトレまで!
ある60代の男性は、自他共に認めるイクジイ。日中は保育園や小学校ですごす孫2人の世話を夕方から夜にかけて一手に担っています。夕方は保育園にお迎えに行き、そのまま自宅へ。小学校から直接祖父母の家に帰ってくる上の子も一緒にすごします。習い事への送迎も「じいじ」の担当。ママチャリならぬジジチャリで出掛けます。
「ばあば」が不在のときは夕飯も作り、子どもが熱を出せば保育園や小学校へ迎えに行ってそのまま小児科を受診。トイレトレーニングもすれば、予防接種のスケジュールも「じいじ」が把握し、保険証や母子手帳も管理しているのはじいじです。プライベートは孫の予定が第一。自分の予定は、娘が孫たちを迎えにきて帰る19時以降と決めているそうです。
イクジイにならざるを得ない事情も・・・
別の60代の男性。仕事を定年退職し、自宅で悠々自適の生活を送っていたところ、大きな転機が訪れます。娘が2人目の子を妊娠。経過が思わしくなく、医師からは絶対安静の指示が下ります。2歳の子どもの世話もままならないため、祖父母が育児に関わらざるを得ない事態になってしまい、祖父がイクジイの役をかって出たのだそうです。朝は、起きて一番におむつ替えと着替え。逃げ回る子どもの後を追いかけ、ようやく着替えを済ませたら、今度は食事のお世話。終わったら遊びの相手。イヤイヤも出始めた2歳の子を相手につい感情的になってしまい、落ち込むこともあるといいます。けれど、娘息子(孫の親夫婦)が育児に携われる状況ではないために、「自分しかいない」と奮闘する日々なのだそうです。
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なぜそこまで?祖父が育児に奮闘する理由
イクジイと聞くと子煩悩ならぬ「孫煩悩」で、かわいさのあまりに積極的に育児に関わっている中高年男性をイメージすることが多いかもしれません。しかし、実際のところは、単にかわいいというだけにはとどまらない理由があるようです。
親世代のかけがえのない「寄る辺」として
「ワンオペ育児」に象徴されるように、親世代の中には「孤育て」を余儀なくされている家庭も少なくありません。また、仕事や傷病などで親世代が「やむを得ない事情」を抱えてしまい、祖父母を頼らざるを得ないケースも決してまれなことではないようです。イクジイの中には、孫がかわいくて仕方なくて、お世話をせずにはいられないという人もいることでしょう。しかし中には、さまざまな家族の事情を考えたときに、その必要性を感じ、イクジイの道を選んだという人もいます。責任感から孫の世話を引き受け、日々奮闘しているイクジイも少なくないのです。
人の役に立つ生き方を実現する一つの選択肢
その一方で、それまで注力していた仕事をリタイア後、今度は孫育てに関わることで充実感や生きがいを得られるようになった、というイクジイも増えてきているようです。しかし、職業人、社会人としての知識や経験は豊富でも、逆に子育てに関する知識や経験が少ないリタイア世代。「孫育てに関わりたいけれど自信がない」と、子育ての基礎知識や技能を教える講座に参加する人も増えています。
例えば、NPO法人エガリテ大手前が主催する「祖父のための孫育て講座」では、参加者が講座や実習を通じて育児の知識や技術を学びます。修了者は「ソフリエ」に。ソフリエは、基本的な育児方法に関する知識や技術を身につけたおじいちゃんであることを示す認定資格です。
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メンタルコーチとwebライターの兼業をしている40代ワーママです。夫と息子との3人家族。東京生まれ東京育ちの大阪府民です。電車と食べることとヘンテコな踊りと絵本が大好きな、まもなく5歳の息子のお蔭で親として日々成長中です。息子が寝る前に習慣としてつづけてきた絵本の読み聞かせが、もうすぐ通算650冊になります。
Mme_barbon(マダムバルボン)は息子が好きだった絵本『ワニのバルボン』シリーズが由来です。
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