「貧困」と聞くとどんなイメージを持ちますか?最近テレビのニュースで子どもの貧困について取り上げられることが多くなりました。驚くことに日本の子ども6人に1人が貧困だというのです。もちろんこの大阪府にも貧困に悩んでいる子どもたちが大勢います。なぜそのようなことが起こってしまうのでしょうか?ここでは子どもの貧困の原因や大阪府で取り組まれていることについてお話していきます。
全国的にみた時に貧困率が高い大阪
子どもの6人に1人が貧困という日本ですが、大阪の貧困率はどれくらいなのでしょうか。大阪は生活保護受給者が多いなどの理由から、貧困率は全国でもかなり上位です。まずは、大阪の生活保護受給率が高い理由からお話しいたします。
貧富の差が激しい大阪府
生活保護受給率が高い大阪ですが、厚生労働省が発表した2015年の平均年収は528万800円で全国的にみても4位と決して低くはありません。大阪府にある箕面市は高級住宅地で有名で、年収1500万以上の世帯も多いようです。一方で、大阪市西成区ではワーキングプア(年収300万円未満)が7割を超えています。その多くがあいりん地区と呼ばれるところに住んでいて、不定期の日払いの仕事しかなく、生活が不安定な人がほとんどです。平均年収は低くないけれど貧困率が高いのは、このような地域の特性によるものなのです。
子どもの貧困率と生活保護受給率について
山形大の戸室健作准教授が都道府県別子どもの貧困率を発表しましたが、大阪は21.8%となり沖縄に次いでワースト2でした。では生活保護受給者は一体どれくらいいるのでしょうか。2012年度の生活保護率は全国で16.7%なのに対して大阪府は34.2%と平均を大きく上回りました。この結果をみても大阪の貧困問題は深刻といえるのではないでしょうか。
大阪の生活保護受給者が多い理由
特定の年齢に限った話ではなく、全体的にみた場合でも大阪府の生活保護受給率はワースト1なのです。どうしてそんなにも生活保護受給者が増えるのでしょうか。まず第一に、大阪府は全国的にみても失業率と離婚率が高いのです。失業率は平成27年で4.2%、離婚率は平成26年で2.06%、どちらも全国3位という結果です。多くの子どもの貧困の背景にある、ひとり親世帯、特に母子家庭の収入の低さは大阪府でも大きな問題となっています。
第二に、あいりん地区に住む人の生活保護が増えたことがあります。西成の「あいりん地区」は、大阪万博の工事のために全国から集まった労働者が肉体労働の人材派遣の拠点としたことによって、高度成長期に非常に栄えました。しかし、バブルがはじけて仕事が減り、さらに労働者が高齢化して肉体労働が困難になったことが背景にあるとされています。
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子どもの貧困問題 大阪府の対策は?
大人の貧困を次世代へ引き継がないためにも、子どもの貧困問題には早急な対策が必要です。冒頭で述べたように、大阪は地域で貧富の差が大きく物価もそれに左右されるため、特定の地域に貧困世帯が集まっています。そのため、地域全体に手を差し伸べ、地域ぐるみで環境を改善していく必要があります。では大阪府はどういった対策をとっているのでしょうか。大阪市が平成28年に行った貧困の実態調査などもあわせてお話します。
子どもの貧困問題 政府や大阪府の対策
平成25年に日本政府は「子どもの貧困対策の推進に関する法律」が公布され平成26年に施行されました。また「子供の貧困対策に関する大綱」も閣議決定され子どもの貧困を解消できるように取り組まれています。大阪府でも平成27年に「子どもの貧困対策の推進に関する法律に基づく都道府県計画」が作られ、子どもの貧困対策部会も立ちあげられました。
大阪市が子どもの貧困についての実態調査
大阪市では平成28年に市内の小学5年、中学2年、幼児の保護者を対象に子どもの生活に関する実態調査を行い、約5万5000人に実施され自治体では最大規模となりました。調査の結果、世帯年収が200万円未満となる小中学生が10.3%(2,853世帯)、5歳児では8.3%(1,216世帯)となり、経済的な理由で医療機関を受診できなかった小中学生は1.3%(358人)、5歳児で0.9%(137人)でした。また経済面から自分の望むように進学できないといった意見もありました。
子どもの貧困をなくすためにやるべきこととは
貧困の家庭で育った子どもは、必要な学用品がそろえられない、親が勉強をみてあげられない、塾へ通うことができない、などの理由から学力低下につながることがあります。そのことで非行化してしまったり、大学進学を諦めたり、就職にも不利だったりすることもあるでしょう。学歴が収入に比例することがあるため、教育が不十分だった子どもは貧困の連鎖から抜け出すことができません。
また、親も貧困家庭に育って十分な教育を受けられていなかった場合や不安定な職業についている場合、子どもは一番身近な大人である親を良い見本として将来を描くことができません。貧困の連鎖を断ち切るためには子どもへの学習支援はもちろん必要ですが、所得が低い世帯への経済支援や社会保障、親世代の資格取得の支援などについても見直さなければなりません。
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元気すぎる男児2人の母ちゃんです。毎日バタバタ走りまわっています。
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