暑い季節になると、川遊びや海水浴などを楽しむ機会が増えますね。それに伴い増加するのが水難事故です。特に子どもが溺れるという、悲しいニュースを耳にする機会は後を絶ちません。水をむやみに恐れる必要はありませんが、楽しさの裏側にある危険や怖さは知っておかなければならないことです。今回は、安全に水遊びを楽しむために必要な知識をまとめました。
水の事故、子どもの割合は?起きる場所は?
毎年必ず起こっている水の事故。それらが最も多く発生しているのはどのような場所・状況下なのでしょうか。そして子どもが犠牲となっているケースはどのくらいあるのでしょうか。ここ何年かの傾向について調べてみました。
約1~2割は子どもが被害者です
警察庁がまとめた報告によると、平成18年から平成27年まで10年間の水難事故のうち、例年約1~2割は子どもの事故となっています。この調査における「子ども」の定義は中学生以下ですが、そのうち最も水難事故発生が多かったのはダントツで小学生でした。小学生の行動範囲や、単独で水辺に近づく機会の可能性等を加味して考えると、これは非常に多い割合と考えてよいのではないでしょうか。ある程度行動に制限があり、ほとんどが保護者の監視下にある年代でも、水の事故は起こっているというのが現状なのです。
最も起きやすい場所は河川、次いで海
子どもの水難事故が最も多発している場所は河川です。その次が海で、これは大人の場合と逆になります。大人は海での事故が最も多いのに対して子どもは河川というところに、子どもの行動範囲が見えてきます。事故が起こる際に行っていた行為としては、最も多かったのが水遊び、次いで水泳でした。その次に多かったのは通行中というもので、意外な感じもしますが歩行中に足を滑らせて転落するなどといったケースも、十分起こり得るのだということを示しています。
小さな用水路やお風呂、トイレも危険
その他の場所として、側溝の小さな用水路や、プールなどもあげられます。そして驚くべきことに浴室やトイレなど、家庭内での水の事故も起きている現状があります。子どもは数十センチの深さの水でも溺れてしまいます。特に危険なのは乳幼児ですが、小学生も例外ではありません。頭が重く重心が高い子どもは、大人よりも身体のバランスがとりにくいものです。ひとたび水の中に顔が浸かってしまうと、容易にそこから顔を上げるのが難しくなってしまいます。またトイレなどの狭い間口には、頭がはまり込んで抜けなくなってしまうことも。鼻と口が水に覆われれば人は窒息してしまうということを考えると、家庭の中でも油断はできません。
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泳げる人でも溺れてしまう理由とは
水難事故のニュースでは、もともと泳げる人が溺れてしまったという話をよく耳にします。カナヅチならともかく、泳ぎが得意だった人までもがなぜ溺れてしまうのか・・・そこには自然の驚異と人間の心理が絡み合った理由があるのです。
人知を超えた自然の驚異!増水や急流など
さっきまでとても穏やかで、私たちを歓迎するようにきらきらと輝いていた海や川。それがひとたび雨風などの天候変化が起こると、まるで別の場所のように急変します。自然の驚異に人知は及びません。急激な増水や、高い波、速い流れに泳ぎのうまい人もあっという間に飲み込まれてしまいます。河川の場合は、上流で豪雨が起こって増水していても、子どもたちが遊んでいる下流では晴れているなど天候の誤差があるため、その後一気に訪れる下流の増水に対して逃げ遅れるといったこともあります。
藻や水草もあなどれない!服が命取りになることも
プールなどで水泳をするときは水着を着用していますが、川遊びなどの際はたいてい衣類は身に着けたままです。この洋服が、万が一の増水などで水にぬれると一気に重くなり、手足の自由を奪います。さらに川や海に自生している海藻や水草、藻の類いが足にからみついて溺れてしまうこともあるのです。普段はなかなか想定し得ない状況が、通常泳ぎが得意な人であっても溺れてしまうさまざまな要因となっているのです。
恐怖心とパニックは冷静さを奪う
そして最後にあげられるのは人の心理です。試しにその場で息を止められるだけ止めてみてください。ある程度経過すると苦しくなってきますね。そこで呼吸ができれば、あっという間に苦しさは解消、なんのことはありません。しかし呼吸ができない状態がずっと続き、苦しいままだとしたら・・・。呼吸ができない状態での恐怖や苦しさというのは、人を心理的にパニック状態にします。そのうえ多くの水を飲んでしまい、むせたりしてますます苦しくなるのが溺れるという状態。焦ってやみくもにもがけばもがくほど、身体は水の中へ沈んでいきます。また、数十センチの水であっても鼻と口が水に浸かってしまえば、同様のパニック状態が起こり、単純に水から顔を上げればいいだけのことができなくなってしまうこともあり得るのです。
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