三人の子育てをしながら2015年保育士資格を取得し、モンテッソーリの保育園に勤務。 リトミックや全身を使ったアートなどが得意。自身の子育て経験を生かしながら、保護者の気持ちに寄り添った保育を目指している。保育記事監修者プロフィール:池田美樹 先生
保育園は、認可・認可外を含め国内に数多くあります。それぞれの園によって運営者・考え方もさまざまであり、質も異なるものです。一方で、昨今では保育園内でのトラブルも耳にします。そもそも質のよい保育とはどういったものなのでしょうか?
保育の質とは?
近年では、少子高齢化も含めて保育士の数そのものが少なくなっていることもあり、現場は慌ただしい状況だと推察されます。そうしたなか、子どもの命にかかわるような事故なども発生しており、保育士一人ひとりに大きな負担がかかっているといえるでしょう。
ここでは、保育の質とはどういったものなのか、具体的にご紹介します。
国際経済協力機構(OECD)の見解
「保育の質」というと、漠然としてややわかりにくい印象を受けますよね。国際経済協力機構(OECD)では、保育の質とは、「子どもたちが心身ともに満たされ、より一層豊かに生きていくことを支える環境および経験」だとしています。
さらに、保育の質には「志向性」「構造」「教育の概念と実施」「過程」「実施運営」「子どもの成果」という六つの側面があるとしています。保育の質は複合的な観点で考えられ、維持・運営されているものだといえるでしょう。
保育の質を維持・向上するために
全国保育協議会(全保協)においては、保育の質を維持・向上するための環境や条件として、以下の四つを挙げています。
- 物的環境の向上
- 保育士などの配置基準を改善
- 保育内容を向上
- 保育士などの資質・専門性を向上
上記を総合的に踏まえ、子どもの発達に合わせて保育の質を確保する必要があるとしています。
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保育の質が下がる背景
保育の質は、子どもの将来的な成長にも大きく影響すると考えられます。一方で、質の維持や向上が難しくなっているとの声も聞かれます。その背景にはどういったことがあるのでしょうか?
保育士不足
そもそも必要な保育士の人数が不足しているにもかかわらず、保育の質を維持しようとするのは難しいことです。現状の配置基準においても保育の質を維持しにくい構造になっており、おのずとそれぞれの保育士に負担が重くのしかかっているのが現状です。
昨今では、保育士の負担や責任が増えるにもかかわらず保育士の待遇は変わらず、さらに保育士の退職を招くという悪循環に陥っているともいえます。
ベテラン保育士がいない?
待機児童解消のため、現在では新たに保育施設が開設されている地域が多くあります。中には認可外・企業内などの施設もあり、施設そのものが多様化しているのが現状です。そのような施設では、長らく保育士として勤めてきたベテラン保育士はほとんどおらず、それほど経験年数を経ていない若手保育士ばかりといった施設も少なくありません。
園全体での職員構成がかたよっていることで、保育のノウハウや専門性・経験による豊富な知識などが浸透しにくい環境になってしまいます。
長時間開園
認可外保育園などでは、開園時間を長く設定しているケースもよく見られます。利用者としては助かるため利用者増にもつながるかもしれません。しかし、本来の保育士の配置基準に基づいた人数を配置できているかどうかが重要なポイントです。
適切な保育士人数を配置できないと、非常勤などでしのぎ、結果として施設内での細やかな連携がうまくできない可能性があります。そうなると、保育士の質が維持できず、低下する恐れも考えられるでしょう。
保育の質の低下とは
保育の質の低下とは実際どういうことなのか、例をあげてみてみましょう。
- 子どもに目が行き届かない(事故のリスク増)
- 経験の浅い保育士しか在籍していないため、対応不足を招く
- 保育士のスキルアップの時間がないため、新しい保育を導入できない
- 保育士が疲弊している、やる気の低下
- 掃除が行き届かない
等が考えられます。
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長男(小1 )・次男(年中)の二児を子育て中。総務・人事・経理などの事務職に従事し、産休・育休ののちに離職。その後フリーライターとして、出産育児・ビジネス・働き方関連・就職転職・地方創生など幅広いテーマを執筆しながら早4年目に突入しました。
男の子2人の育児に翻弄されつつも、我が子には「思いやりのある子・人の痛みのわかる子」になってほしいと願いながら慌ただしい毎日を過ごしています。
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