児童自殺の予防には親の心構えが不可欠
児童自殺が増える原因には、複雑な問題が絡み合っているのは事実です。しかし児童自殺に共通しているのは、子どもが親に言いにくい悩みを抱えているという点がうかがえます。つまり児童自殺を防ぐには、親がいち早く子どもの様子に気づく必要があるのです。最後に、親が気を付けたい子どもに対する自殺予防の心構えについて、お話します。
子どもの学校や担任教師などとの関係を密にしておく
児童自殺を予防するためには、子どもが学校でどう過ごしているかを知っておくことが大切です。家庭でいくら気を付けていても、子どもは家庭内では自分の悩みなどを隠していることもあります。そのため学校や担任教師と日ごろからつながり、情報交換を行うことが重要です。また、学校によっては、クールカウンセラーやソーシャルワーカーという心理や福祉の専門家が在籍しているケースもあります。心配事があれば彼らに相談をしたり、家庭訪問を依頼したりしても良いでしょう。
子ども自身が相談できるサービスの情報を提供する
自分の悩みを聞いてもらいたいけれど、学校や親に話すのは抵抗があるという子どももいます。もし、そのような問題が訪れたときに備えて、親は普段から教育委員会が実施している「24時間子どもSOSダイヤル」や都道府県などが委託先となっている「SNSを活用した相談事業」のサービスが存在していることを伝えておきましょう。直接伝えにくい場合は、相談窓口が掲載されているパンフレットなどを、さりげなく子どもの目の付く場所に置いておくのも効果的です。
親自身の子どもに対する言動を振り返って常に考える
児童自殺の原因は、学校だけではなく、家庭にある場合も少なくありません。最近は、共働きの家庭も増え、仕事と子育てで親自身がストレスをため込んでいるケースも存在します。親が自分の心に余裕がないと、どうしても子どもに当たったり、険悪な雰囲気を与えてしまったりする場合があるでしょう。しかし、そのちょっとしたことが重なると、子どもが行き場のない状態に陥って行くことも、めずらしくないのです。親は日ごろから自分の子どもへの言動を客観的に見つめる癖をつけたり、片方だけに子育ての負担がのしかかることのないように、夫婦間で話し合うことが大切だと言えます。
おわりに
これからの未来を生きる子どもたちが児童自殺に手を染めてしまう事実は、大変悲しい出来事です。しかし、親が子どもの様子や変化に気づき、さまざまな機関やサービスとつながったり、親自身の態度を見つめなおすことで、子どもの自殺を回避させることは可能です。児童自殺を他人事だと思わず、起こり得ることとして捉え、親はまず出来ることから始めて行きましょう。
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福祉系大学で心理学を専攻。卒業後は、カウンセリングセンターにてメンタルヘルス対策講座の講師や個人カウンセリングに従事。その後、活躍の場を精神科病院やメンタルクリニックに移し、うつ病や統合失調症、発達障害などの患者さんやその家族に対するカウンセリングやソーシャルワーカーとして、彼らの心理的・社会的問題などの相談や支援に力を入れる。現在は、メンタルヘルス系の記事を主に執筆するライターとして活動中。《精神保健福祉士・社会福祉士》
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