厚生労働省が体罰のガイドラインを発表。あれもこれも体罰に!?しつけとの境は?

体罰のガイドライン
2020年4月に改正児童虐待防止法が施行されることを受け、厚生労働省は2019年12月にどんな行為が体罰に該当するかについて触れた、ガイドライン案をまとめました。近年増加している子どもへの虐待を防ぐためのものですが、その内容を受けて「これも体罰になるの?」「これはしつけの一環だ!」などの戸惑いの声が上がっているようです。今回は、厚生労働省が発表した体罰に関するガイドラインについて、ご紹介します(2020年3月現在)。

厚生労働省が発表したガイドラインの内容は?

体罰とは
子どもへの虐待を防止するために作られたガイドライン案ですが、その内容に不満を持ったり、疑問に思ったりする人は少なくありませんでした。そこで、厚生労働省が12月に発表した「虐待防止のガイドライン」の内容を、以下にまとめてみます。

【ガイドライン案より】
これは体罰 体罰ではない
・ご飯を与えない
・罰としてお尻をたたく
・長時間正座をさせる
・道に飛び出した子どもの手をつかむ
・他の子どもに暴力を振るうのを止めにはいる

身体に苦痛を引き起こす行為は虐待に

ガイドラインによると、子どもの身体に苦痛または不快感を引き起こす行為は体罰に該当し、法律で禁じるとされています。具体的には、殴ったり、長時間正座させたり、罰として食事を抜いたりすることも虐待に該当するということです。ただ、子どもを痛めつけるために暴力を振るうのはもちろんいけないことですが、正座させたり、食事を抜いたりすることも体罰としてしまうのはどうなのかと疑問に思う声が上がっています。

子どもの安全や第三者を守るためなら許容範囲

厚生労働省のガイドラインでは、体罰の具体的な内容を提示すると同時に、「これは体罰に当たらない」という基準にも触れています。例えば、道路に飛び出そうとした子どもの腕をつかんで強く引っ張る、他の子どもをたたこうとしている子どもを制止しようとする場合など、子どもや他者の安全を守るケースなら許容範囲に当たるそうです。身体に不快感を与える行為を全て禁じてしまうとトラブルが起こる可能性もありますから、これが許容されるのは当然だとも言えますね。

しつけと虐待の違いを明確化している

今回厚生労働省から発表されたガイドラインでは、たとえ親がしつけだと思っても子どもが苦痛を感じるなら、軽くても体罰に当たるとしています。日本ではしつけのためなら子どもに少々厳しくすることもいとわないという風潮がありますが、そのせいで子どもが虐待を受けてしまうのはいけないことです。そこでしつけと虐待は異なることを強調し、分かりやすい基準を設けたのが今回のガイドラインの内容でした。

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ガイドラインを知った世間の反応は?

悩む親
虐待のニュースを見ると、誰もが心を痛めるものです。しかし、発表された「厚生労働省のガイドライン」の内容は、必ずしも好意的に受け止められたわけではなかったようです。以下に、ガイドラインを知った世間の反応について、お伝えします。

理想論すぎて参考にならなさそう

ガイドラインを見て、「理想論すぎる」という感想を抱いた人が多いようです。殴る、蹴るといった行為が虐待になり、禁止されるべきなのはもちろんですが、正座させたり、食事を抜きにしたりといった直接的な暴力とは違うものまで体罰としてしまうのはどうなのかと世間は感じるようです。体罰かしつけかという境界は難しく、中には家庭事情に国が基準を定めて介入すべきではないと考える人もいます。

保護者にとって教育が難しくなる

日本では子どもを外に出しても恥ずかしくないように、厳しくしつけるべきという考えがあります。そのために、少々きついしつけも受け入れられてきました。そんな中で厚生労働省によって体罰の基準を定められてしまうと、親は子どもがいけないことをしたときにどう叱っていいのか分からなくなります。また、体罰とみなされて逮捕される恐れも出てくるので、保護者にとっては子育てが大変になるでしょう。

しつけられなかった子どもの将来が不安

厳しいしつけは子どもにとっては怖いかもしれませんが、本当に悪いことをしたときに親から叱られることで、人間として正しいことを理解することができます。その一方で、しつけの方法が制限されてしまうと子どもが良いことと悪いことの区別ができず、将来良い大人になれないのではないかという不安の声も上がっています。少々の厳しいしつけは必要というのが、世論のようですね。

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