臨月に入り出産予定日が近づいてくると、気になるのはいつ陣痛が来るのかということ。下腹部を中心に陣痛のような痛みを覚えて「いよいよか?」と思ったら遠のいてしまい、出産は結局2日後だった、などといった先輩ママの経験談も耳にします。陣痛に関しては「寝ると遠のく」ともいわれますが、これは本当なのでしょうか。
陣痛が遠のく場合、それは前駆陣痛かも?
「痛」の字がつくことから「痛み」というイメージが強いです。陣痛は子宮が収縮することを指すため、分娩(ぶんべん)のときだけでなく、妊娠経過中でもしばしばみられます。お産が近づいてくると、陣痛はさらに頻繁に生じるようになります。そしていよいよ出産!となったときに起こるのが本陣痛です。
お産に備えて起こる陣痛もある…前駆陣痛
臨月に入ると、お産に向けての準備が進んでいきます。その中で、生理痛のような痛みや下腹部の張りなどが生じることがあります。この痛みは前駆陣痛と呼ばれているもので、子宮が収縮することによるものです。前駆陣痛は、お産に備えて子宮下部や子宮頸管(けいかん)を柔らかくするために生じると考えられています。生じる間隔や持続時間が不規則であること、痛みの強さもまちまちであること、姿勢を変えることで痛みが治まる場合が多いこと、などが前駆陣痛の特徴です。
本陣痛は、痛みが次第に強くなっていく
したがって陣痛(本陣痛)のように感じられても、横になるなどして姿勢を変えたら痛みが遠のくようであれば、前駆陣痛である可能性が高いかもしれません。本陣痛は痛みが徐々に強くなってくるのが特徴です。痛みの範囲も広がっていきます。下腹部からおなか全体、腰、下半身へと広範囲で痛みや重さを感じるようになり、姿勢を変えても痛みは治まりません。眠ろうと思っても痛みで眠れず、寝ていたのに痛みで起きてしまったという人もいるほど。「陣痛が寝ると遠のく」ここでいう陣痛が前駆陣痛のことであれば、たしかに寝る(姿勢を変える)と痛みが遠のく場合が多い、といえましょう。
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寝ると遠のく、って寝られるものなの?
本陣痛が始まると、立てないほどの痛みを感じるものです。わたしが息子を産んだときも、骨盤が押し広げられ裂けてしまいそうに感じるほどの痛みがありました。実際、立っていられなくて、生まれたての子鹿のように産院の床でよつんばい。けれどそのような強い痛みの最中でも、ウトウト…眠気にみまわれる例は多いようなのです。
7割近くの産婦がお産中に眠気を自覚
ここで、1990年に行われた、お産経過中の産婦にみられる「眠気」についての実態調査をご紹介します。調査対象となった産婦は196名。そのうちの67%、132名に、お産中に眠気がみられたと報告されています。お産経過中どのタイミングで眠気が出現しているかについては、胎児が産み出される(娩出)約2〜3時間前に眠気が始まり、約1時間にわたって眠気が持続。眠気が終わる頃に子宮口全開大となり、赤ちゃんが産み出される、という経過が共通してみられたのだそうです。
陣痛の痛みの間に恍惚(こうこつ)をもたらす脳内麻薬
お産には多くのホルモンの働きが関わっています。たとえばβエンドルフィン。脳内麻薬とも呼ばれ、恍惚(こうこつ)感や多幸感をもたらすホルモンです。鎮痛作用をもつことでも知られています。
お産時には、このβエンドルフィンを含めたエンドルフィンの血中濃度が、平常時の2〜6倍にも増加。これによってお産に伴う痛みを和らげていると考えられています。そして同時に、ウトウトとした眠気のような感覚をもたらします。お産の最中、陣痛と陣痛との合間についウトウトと眠ってしまう、というのはそのためなのです。
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メンタルコーチとwebライターの兼業をしている40代ワーママです。夫と息子との3人家族。東京生まれ東京育ちの大阪府民です。電車と食べることとヘンテコな踊りと絵本が大好きな、まもなく5歳の息子のお蔭で親として日々成長中です。息子が寝る前に習慣としてつづけてきた絵本の読み聞かせが、もうすぐ通算650冊になります。
Mme_barbon(マダムバルボン)は息子が好きだった絵本『ワニのバルボン』シリーズが由来です。
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