近年では労働者人口の減少に伴い、ビジネスシーンにおいて女性活躍の場が広がりつつあります。女性が社会進出するうえで、障壁となるのが結婚・妊娠・出産・子育てといったライフイベントと仕事との両立です。
特に出産の前後は仕事をしたくてもできない期間が必ず発生し、それと同時に退職する女性も少なくありません。今回は、女性が出産によって仕事を辞めざるを得ない理由について考えていきます。
出産によって退職する女性数の現状
現在では、結婚によって退職する女性は少なくなってきたものの、出産によって退職する女性は相当数存在します。ここで、実際の数値をもとにどれくらいの女性が退職しているのかを見ていきましょう。
出産前後のママの就業状況
国立社会保障・人口問題研究所が2015年に実施したアンケートによれば、出産前に就業していた女性の割合は72・2%、そのなかで出産によって退職したのは33・9%でした。一方で就業継続した女性は38・3%です。
出産前就業の72・2%を100とした場合、就業継続した女性は53・1%と、過去のアンケート結果において最も高い割合となっています。
過去のデータ(1985~1989年)において、出産後も継続就業している女性が24・1%ということを考えると、近年はその倍に近い女性が継続就業しているのが現状です。
第二子・第三子出産時の継続就業状況
先ほどと同様のデータで、第二子・第三子と複数の子どもを持つ世帯においても出産後の就業継続数は増えています。特に育児休業利用による就業継続者が大幅にアップしているのがポイントです。1990年~1994年において、第二子出産後の就業継続(育児休業利用)では約5倍、同じく第三子出産後においては約4倍弱に増加しています。
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出産によって退職を選ぶ女性が求めていること
出産後も働きたいと考えている女性は数多くいるはずです。一方で、退職せざるを得なかった女性も少なくありません。ここでは内閣府の以下のデータをもとに、第一子出産後に退職した女性が、就業継続に対してあればよかったと思うことについてご紹介します。
子どもを預けられる保育所数などの充実
アンケートの結果、「認可・認証保育園などに子どもが預けられればよかった」との回答が最も多い割合を示しました。働きたくても安心して子どもを預けられる環境がなければ、継続して仕事を続けられません。現状、まだ待機児童数などの問題もあり、子どもを預けられる環境がなくて退職する女性も一定数存在します。
職場での仕事・育児両立支援制度
多くの企業において、女性が働きやすい環境づくりが進められています。しかしすべての企業においてそうとはいえず、両立が難しいと考えて退職する女性も多いです。特に勤務先が遠い場合など、出勤時間が長い場合には体力的にも継続して働きにくいと考えてしまう女性もいます。
例えば在宅勤務やフレックスタイム制などがあれば、働きやすさも向上するといえるでしょう。
職場での働くママに対する理解度向上
子ども預けられる場所があり、職場に支援制度があったとしても、実際に制度を利用している人がいない、何となく制度を利用しにくい風土があれば、おのずと働き続けづらくなってしまいます。すでに制度利用者の実績があるなど、気持ちよく制度を利用できる・子育てママに対する理解度が高い企業であれば、継続就業しやすいのではないでしょうか?
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長男(小1 )・次男(年中)の二児を子育て中。総務・人事・経理などの事務職に従事し、産休・育休ののちに離職。その後フリーライターとして、出産育児・ビジネス・働き方関連・就職転職・地方創生など幅広いテーマを執筆しながら早4年目に突入しました。
男の子2人の育児に翻弄されつつも、我が子には「思いやりのある子・人の痛みのわかる子」になってほしいと願いながら慌ただしい毎日を過ごしています。
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