N分N乗方式の導入に関する今後の課題
最後に、N分N乗方式の導入に関する今後の課題についてお伝えします。
フランスでは、導入以来国民にも高く評価されている制度ではありますが、そのまま日本で導入するためにはいくつかの課題があるのです。
女性の社会進出を抑制する原因になり得る
N分N乗方式では、減税額が共働き世帯よりも片働き世帯の方が大きくなるので、女性が社会で働こうとする意欲を抑制してしまうことに繋がりかねないという懸念があります。
個人単位で課税される仕組みで、女性の社会進出を促進してきた日本では、この共働き世帯よりも片働き世帯の方が減税額が大きいという点が課題となりそうです。
高所得者に大きなメリットが偏る
先ほどの計算式でも分かる通り、税額の軽減は高所得者ほど恩恵が大きいということになるため、低所得者からの理解が得られづらい点が疑問視されています。
なぜなら、納税額の少ない低所得者には、メリットが小さいからです。
日本での導入はメリット・デメリットを精査する必要がある
ここまでフランスで導入されたN分N乗方式について解説してきましたが、日本でこの制度を導入するためには、それぞれのメリットとデメリットをしっかり精査した上で導入する必要があります。
今後の、税率の変化によってもこの軽減は変わってくるので、将来の税率と日本に合った仕組みにしていくことが優先事項だと言えるでしょう。
おわりに
N分N乗方式は、フランスでは国民の間にしっかりと根付いている制度だと言えますが、日本での導入にはまだまだ課題が多いとされています。
そのため、今後の日本の仕組みに合わせた軽減案が作られると良いですね。
※本記事は掲載時点の情報であり、最新のものとは異なる場合があります。ご了承ください。
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福祉系大学で心理学を専攻。卒業後は、カウンセリングセンターにてメンタルヘルス対策講座の講師や個人カウンセリングに従事。その後、活躍の場を精神科病院やメンタルクリニックに移し、うつ病や統合失調症、発達障害などの患者さんやその家族に対するカウンセリングやソーシャルワーカーとして、彼らの心理的・社会的問題などの相談や支援に力を入れる。現在は、メンタルヘルス系の記事を主に執筆するライターとして活動中。《精神保健福祉士・社会福祉士》
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