昔は発達障害傾向の子どもがいれば、「わがまま」「変わった子」などと捉えられていた時期がありました。なぜなら、当時は発達障害の詳細がよく理解されていなかったからです。しかし、現代では発達障害の認知度が進み、彼らに合わせた接し方を学ぶ機会も多くなりました。
ところが、中には発達障害の子どもを持つ親自身が、子どもの障害を認めないケースもあるようです。
ここでは、子どもの発達障害を認めない親の特徴やどのように付き合っていけば良いのかについて解説します。
発達障害を認めない親の3つの特徴
我が子が保育園や幼稚園などに通うようになると、さまざまな子どもや保護者と触れ合うことになるでしょう。もしかしてその中には、発達障害を認めない親が存在するかもしれません。しかし、彼らの特徴を知っておけば、出会ったときの心構えが可能になります。
発達障害についてまだ良く理解していない
発達障害がクローズアップされる時代になったとは言っても、身近にそのような子どもがいなければ、「しょせんは他人事」だと考えてしまう親もいます。
また、病院などの専門機関以外の場所で生活していれば、発達障害の特徴や傾向、対処法などの知識を十分に得ることができないケースは少なくないのです。
障害を持っていることに対して強い拒否感がある
障害を持っている人も持っていない人も、みんな同じ権利を持ちながら地域で生活するというノーマライゼーションの考え方が浸透しつつある現代。しかし、現在子育て中の親の子ども時代は、まだこのような環境が整えられていなかった場合が多いです。
そのため、障害を持っている=マイナス要素だという思い込みから抜けきれず、子どもの障害を認めたくないという意識が強い場合もあります。
子どもの障害によって自分が責められるかもという恐れがある
かつて発達障害は、親の育て方が悪かったからだという間違った考え方があったと言われています。実際には、親の育て方ではなく、脳の機能の問題が影響しているのですが、まだ誤解した考え方が根強く残っているケースもあるでしょう。
このような環境に親がいる場合は、「私の子どもが発達障害なのは育て方が悪かったのかも。発達障害を認めれば、私自身の責任だと思われる」と、親自身も不安や恐怖を抱えている可能性が否めません。
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発達障害を認めない親が起こし得る行動
発達障害を認めない親は、子どもの現在の障害自体にばかり気を取られる傾向があります。そのため、周りの人に迷惑をかけていないだろうかという意識や、自分の子どもが将来困らないだろうかなどという想像をしにくいという現実も潜んでいます。いくつかの具体例を、以下に見て行きましょう。
幼稚園などでトラブルが発生しがち
発達障害の子どもはこだわりが強く、周りとコミュニケーションを取ることが苦手な傾向があります。
ただ、保育園や幼稚園では集団で行動することが多くなりますから、発達障害の子どもはなかなかなじめずに、問題行動を起こしてしまうことも。ところが、発達障害を認めない親は、子どもが起こした物事を直視できず、他の子どもなどのせいにしたり、うちの子に悪気はなかったなどと開き直ったりしてしまうのです。
子どもが親に否定された感覚で育ってしまう
親が子どもの発達障害を認めずにいると、子どもは「自分は悪い子なのかな…」と感じ、自信を失くしてしまう可能性があります。
また、障害の影響でなかなか出来ない物事に対して、親から文句や注意を常にされると、子ども自身も自己肯定感が低くなることがあるでしょう。
早期対応ができずに、子どもの将来に影響を与える
発達障害は完治が難しい疾患です。しかし、親が子どもの小さい頃からそれに気づくと、適切な訓練などを受けさせることができます。
苦手な物事に対応できるようになったり、スムーズなコミュニケーション能力を付けたりすることが可能となります。つまり、障害を認めない親は、子どもの将来の可能性を狭めてしまうことにもなりかねません。
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福祉系大学で心理学を専攻。卒業後は、カウンセリングセンターにてメンタルヘルス対策講座の講師や個人カウンセリングに従事。その後、活躍の場を精神科病院やメンタルクリニックに移し、うつ病や統合失調症、発達障害などの患者さんやその家族に対するカウンセリングやソーシャルワーカーとして、彼らの心理的・社会的問題などの相談や支援に力を入れる。現在は、メンタルヘルス系の記事を主に執筆するライターとして活動中。《精神保健福祉士・社会福祉士》
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