子どものことを大切にしているはずなのに、最近口答えをしたり、駄々をこねたりすることが多くなった…。このような子どもの困った行動に、頭を抱える親もいることでしょう。子どもが問題行動をしてしまう原因はいくつかありますが、子どもが問題行動をすることで親の出方をうかがっているようなら、それは試し行動かもしれません。ここでは、子どもの試し行動の特徴や親の向き合い方についてご紹介します。
試し行動とは一体どんなもの?
試し行動とは、子どもがいたずらをしたり反抗したりすることで、親がどのような対応を取るかを試すことを言います。また、試し行動には以下のようなさまざまな種類があります。
理由もなく泣くことで親の対応を見る
子どもは悲しいことや寂しいことがあったとき、その気持ちを表現するために親に対して泣き出してしまうことがあります。これは自分の感情を伝えるための行動ですが、時には理由もないのに泣く子どももいます。それは多くの場合において、泣いたら親が自分を気にしたり、構ってくれたりするかどうかを試す行動です。
親の言うことにいつも反抗する
子どもは2歳頃になると自我が出始めるため、親の言うことに対して「それはイヤ!」と反対するようになります。この行動自体は、今まで親の言うことを疑いなく信じていたけれど、自分はこれがしたいという気持ちが芽生えることで生じるものです。
つまり、自我の発達によって反対しているのなら成長の証だと言えるのですが、何にでもいつも反抗するようなら、子どもの試し行動かもしれません。
目の前で危険なことをしようとする
言葉が発達し、行動範囲も広がってくると、子どもは親の言うことをある程度理解できるようになります。それに伴って、試し行動もレベルが高くなることも。
例えば、キッチンに置いてあるミキサーの中にわざと手を入れる行動をしてみたり、公園のブランコから落ちるような素ぶりをしたりといったものなどが見られるかもしれません。
これらは危険なことではありますが、子どもにとっては試し行動なので、本当ケガをするなどの失敗はしないように計算して動いているのです。
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試し行動はなぜ起きる?複雑な子どもの心理
子どもにとって親は、基本的に絶対的な存在です。そのため、親に「甘えたい」「守ってもらいたい」「愛してほしい」などという感情を持っています。
このように大切な親であるにも関わらず、子どもはなぜ試し行動をしてしまうのでしょうか?それには、子どもなりの重要な理由があるのです。
親の愛情をきちんと確かめたいから
試し行動をする一番の理由は、自分が求めている愛情を親もちゃんと感じてくれているかどうかを確かめたいからだと言われています。特に、ちょっとしたことでも親が自分のことを見てくれていないのかもと思ったら、泣いたり怒ったりしながら親が振り向いてくれるような行動をするのです。
そのような行動をしても、親が自分に対して愛情を向けてくれるのか、大切にしてくれるのかを確認できると、子どもは安心します。
親の態度に戸惑いを持っているから
試し行動は、自分に向けられる親の言葉と態度が違うときに生じることがあります。例えば、親が口では勉強をしたくないならしなくて良いよと言っているにも関わらず、態度では「将来のためにちゃんと勉強してほしい」という行動を示していたとします。
そうすると子どもは、どちらが親の本音なのかな、勉強しないと愛してもらえないかもしれないと戸惑って、愛情を確認したいという気持ちになるのです。
自分を受け入れてくれるのかを確認したい
これは、虐待などを受けて育った子どもに起こりやすい試し行動だと言われています。辛い体験の中で生活していた子どもは、親から愛情を得たことが少ないかわりに、暴言や無関心というマイナスな感情を与えられ続けたという場合が多いのです。このような環境にいた子どもは、心の底では「本当に自分を愛して受け入れてくれる人」を求めています。
しかし、愛情を与えられていないため、こんな自分でも愛してくれるのかを確認したいという気持ちにかられます。そのため、わざと反抗したり相手に嫌な言葉を吐いても、ちゃんと受け入れてくれるかどうかを試すことがあるのです。
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福祉系大学で心理学を専攻。卒業後は、カウンセリングセンターにてメンタルヘルス対策講座の講師や個人カウンセリングに従事。その後、活躍の場を精神科病院やメンタルクリニックに移し、うつ病や統合失調症、発達障害などの患者さんやその家族に対するカウンセリングやソーシャルワーカーとして、彼らの心理的・社会的問題などの相談や支援に力を入れる。現在は、メンタルヘルス系の記事を主に執筆するライターとして活動中。《精神保健福祉士・社会福祉士》
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