子育てに悩み、子どもを虐待してしまう親は少なくありません。幼い子が被害者だという印象がありますが、虐待は子どもが親の管理下にある間は長く続きます。虐待の被害者である、10代の子どもたちが身をよせる「子どもシェルター」について解説しました。
「子どもシェルター」は子どものための避難所
子どもシェルターは、全国に7カ所あります。東京、横浜、名古屋、岡山、京都、広島、福岡の都市に設置されています。NPO法人が運営している、民間の施設です。2004年に東京ではじめて設置されました。子どもシェルターは、子どもたちの自立を支援する一時的な避難所です。
対象は10代後半から20未満の子ども
子どもシェルターが対象としているのは、10代後半から20未満の子どもたちです。虐待などが原因で、親の保護を受けられなくなった子どもは、通常、児童福祉施設で暮らすことになっています。しかし、法律上「子ども」と定義されているのは、18歳未満。18歳になると、児童福祉施設を出て行かなくてはなりません。しかし、18歳はまだ学校に通っている年齢です。社会的には未成年なので、部屋を借りるにも保証人がいります。法律上の「子ども」と大人のはざまで、セーフティーネットからこぼれてしまった子どもたちを助けているのが、子どもシェルターなのです。実は年齢制限は設けられていないのですが、本人の意思で入所し、契約する必要があるので、自然と10代後半の子どもたち中心になっています。
どこにも居場所のない子どもたちが集まる
子どもシェルターに集まってくる子どもたちは、さまざまなバックグラウンドを持っています。虐待を受けていた子、少年院から出てきたけれど、身元引受人がいない子など、みんな居場所をなくした子どもたちです。なんらかの理由で、保護してくれる親や大人がいないため、彼らは自立する方法を学ばなくてはなりません。基本的には児童相談所から連絡を受けて子どもを保護しますが、なかには自分で「助けてほしい」と電話をかけてくる子もいます。
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「子どもシェルター」での暮らし
子どもシェルターの正確な場所は、公表されていません。シェルターに入所する子どもたちのなかには、家出をして親の元を逃げ出してきた子もいます。また、虐待する親の多くは、子どもを手元に引き取りたいと申し出ます。そうした親に子どもが勝手に連れ去られないよう、細心の注意がはらわれています。
信頼できる大人と一緒に心と体を休める
シェルターでは、まず子どもたちの心と体を休めることに専念します。大変な状況をくぐり抜けてきた子どもたちは、心に深い傷を負っています。自傷行為があるなど、精神的なケアが必要な子どももいます。スタッフは、子どもたちの気持ちに寄り添い、信頼関係を構築していきます。シェルターの多くは、戸建ての一軒家で、入所人数も5~6人と小規模で家庭的な雰囲気です。男子用、女子用にわかれており、規則正しい生活、仲間で囲む食卓、誕生日ケーキなどのお祝い事など、家族のように暮らします。24時間、大人が一緒にいられるように、スタッフはシフトを組んで常駐しています。
学校や仕事に行くこともできる
児童相談所の一次預かりでは、子どもは学校に行くことができません。基本的に施設から出ることができないのです。しかし、シェルターなら、学校や仕事に行くことができます。行きかえりの注意を怠らず、うっかり自分の居場所をしゃべってしまわないような、しっかりした子には許可が出ます。子どもたちはシェルターに住み続けるわけではなく、自立の準備ができれば、巣立っていきます。個別対応のケースもありますが、入所期間はおおよそ、1~2カ月と決められているところが多いです。
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