「出産後しばらくは、お風呂に入ってはいけない」という話を聞いたことがあるという方もいると思います。お風呂は疲れを取ってくれたり、新陳代謝をよくしてくれたりなどのメリットがありますが、産後の入浴には気を付けるべきことがいくつかあります。ここでは、産後にお風呂に入ることのリスクや、いつ頃から入浴などができるようになるかについて、ご紹介します。
産後にお風呂に入ってはいけない理由とは
産後のお母さんの体は、出産という非常に体力を消耗する出来事を経験した後ですので、デリケートな状態になっています。入浴は意外とエネルギーを費やす行為でもあるため、産後のケースでは、さまざまなリスクが付きまとうことがあるといわれています。
出産後の入浴は感染症の原因になる!?
出産後の入浴が危険だといわれている最大の理由は、感染症にかかってしまうリスクがあるという点です。出産後のお母さんの体は、体力を著しく消費した後ですし、ホルモンバランスなども変化する時期ですので、免疫力も弱まってしまっています。
さらに、出産に伴って膣や産道、子宮などもダメージを負い、傷を負っていることもあります。そのような状態でお風呂に入ると、お風呂の雑菌が傷口に入り込んでしまい、傷が悪化、頭痛や腹痛、吐き気などが生じる危険性があります。
悪露の過剰な排出で貧血のリスクも
産後の入浴によるリスクは、感染症だけではありません。出産後は子宮を収縮させるためにしばらくの間は子宮粘膜の分泌液や血液、胎膜や胎盤組織の変性分解物質などの、通称「悪露」(おろ)が排出されるようになります。そのような時期にお風呂に入って体を温めてしまうと、血行が良くなることによって悪露の量が増え、血液が過剰に排出されてしまうことによって貧血を起こしてしまうこともあるのです。
シャワーなら産後に浴びても大丈夫
産後すぐの入浴は感染症などのリスクがありますが、シャワーの場合は早ければ翌日から、長くて1週間ほどから浴びても大丈夫だとされています。ただ、シャワーにしても、自分の独断で浴びるのは危険ですので、しっかりと医師と相談しながら経過を見て、許可をもらってから入るようにしましょう。
子どもが生まれたら、もう自分一人の体というわけにはいきません。大切な赤ちゃんのために、そして、お母さん自身の健康のためにも、気を付けて生活していきたいものですね。
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入浴許可が出てから気を付けること
産後の入浴は、約2週間~1カ月たてば良いとされています。ただ、医師からの許可が出て、体調が安定してきたといっても、まだまだ油断は大敵です。出産前と出産後では、体調が変化している場合もしばしばあります。入浴許可が出ても、産後にふさわしい入浴方法をしっかりと覚えておくことが大切です。
お母さんはなるべく一番風呂に入ろう
産後時間がたって悪露なども落ち着き、お医者さんから入浴の許可をもらったといっても、まだ膣や産道、子宮などには細かい傷が残っている場合もあります。感染症のリスクをなるべく避けるためにも、お母さんは清潔な一番風呂に入るようにしましょう。また、公衆浴場など不特定多数の人が使う施設の利用も、しばらくの間は控えた方が良いかもしれませんね。
熱いお風呂に入るのは控えること
お母さんは熱いお風呂ではなく、なるべくぬるま湯につかるようにすることが大切です。産後の体は高血圧になりやすい傾向にあるため、熱いお風呂につかるとのぼせてしまう可能性が高くなります。さらに、出産後は足腰などの下半身の筋肉が衰えていることも多いので、のぼせて頭がぼんやりとし、足を滑らせてしまうというトラブルが起きてしまうことがあるので、注意しましょう。
過度な長風呂は避けた方がベスト
産後は、過度な長風呂も控えた方が良いでしょう。いくらぬるま湯でも、長くつかればやはり体温が上がり、のぼせてしまう可能性が高くなってしまいます。「熱いお風呂が好き」「ゆったりとお風呂でリラックスしたい」という方は多いと思いますが、しばらくの間は万が一のこともありますので、ぬるま湯で適度な入浴時間を守るようにしてくださいね。
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福祉系大学で心理学を専攻。卒業後は、カウンセリングセンターにてメンタルヘルス対策講座の講師や個人カウンセリングに従事。その後、活躍の場を精神科病院やメンタルクリニックに移し、うつ病や統合失調症、発達障害などの患者さんやその家族に対するカウンセリングやソーシャルワーカーとして、彼らの心理的・社会的問題などの相談や支援に力を入れる。現在は、メンタルヘルス系の記事を主に執筆するライターとして活動中。《精神保健福祉士・社会福祉士》
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