日本では、男女共同参画社会基本法が平成11年に施行され、男女平等を推進する一歩を踏み出しました。それから20年が経過しましたが、リーダーとしての女性の数はまだまだ十分とは言えません。あなたの娘さんが成長した頃には女性リーダーとして活躍できる時代になっているでしょうか。ここでは、男女の格差をあらわす「ジェンダー・ギャップ指数」と団体によるアンケートをもとに、どうすればリーダーシップをとれる女性になれるのかを考えていきましょう。
世界的指標・ジェンダー・ギャップ指数とは
ジェンダー・ギャップ指数とは、世界経済フォーラム(World Economic Forum)が毎年発表する数値のことです。数値は国ごとに集計され、各国における男女格差を測ります。男女格差にまつわる各種の調査を数値に反映することで、どの国が男女の平等の度合いが高いか低いかといったことが、わかるようになっています。
男女間の格差を数値化した指標
ジェンダー・ギャップ指数とは、Gender Gap Index、略してGGIとも呼ばれる、世界各国の男女間格差を数値化した指標でもあります。この指標は、経済、政治、教育、健康の4つの分野のデータから作成されます。作成された分野の指標が0に近いほど不平等、1に近いほど平等となります。2020年は、153カ国が調査の対象となりました。
国別ランキング!日本はまさかの最下層?
今回発表された日本のジェンダー・ギャップ指数は、0.652でした。これは対象となった153カ国中121位です。ちなみに、トップはアイスランドの0.877、2位はノルウェーの0.842と続きます。
また先進国とされるG7内に限ると
1 | ドイツ(10位) |
2 | フランス(15位) |
3 | カナダ(19位) |
4 | イギリ(21位) |
5 | アメリカ(53位) |
6 | イタリア(76位) |
7 | 日本(121位) |
となっています。ここでも、日本の順位は今回が過去最低の順位になってしまいました。
新型コロナ対策に成功した国は女性リーダー!
2020年に世界中に感染拡大している新型コロナウイルス。第一波を上手に対処して評価をあげた女性リーダーを紹介しましょう。
ドイツ メルケル首相
早期から冷静かつ断固たる姿勢を持って、国民に対して新型コロナウイルスの危険性を警告。また感情を表にださず情報隠しにも無縁
台湾 蔡英文総統
新型コロナウイルス流行の兆しが見え始めた1月から感染拡大防止に向けた124の措置を発表し早期かつ迅速に対応
アイルランド カトリン・ヤコブスドッティル首相
国民全員に対し無料の新型コロナウイルス検査を実施。徹底的な追跡システムも導入し、封鎖措置や学校閉鎖も回避した
ニュージーランド ジャシンダ・アーダーン首相
早期から封鎖措置を断行。国内に最大限の警戒態勢を敷く方針であることと、その理由を明確に示した
フィンランド サンナ・マリン首相
昨年12月に世界最年少の国家元首として就任。ミレニアム世代の若きリーダー。ソーシャルメディア上のインフルエンサーを新型コロナウイルス対策に動員して正しい情報の発信に努めた
デンマーク メッテ・フレデリクセン首相
大人の参加を禁じた記者会見を開き、全国の子供たちから寄せられた質問に答え、子どもに寄り添いながら説明した。その独創性が絶賛された
日本は特に政治と経済分野に弱い
残念な結果に終わった日本のジェンダー・ギャップ指数ですが、少し詳しく数値を見ていきましょう。先にお話ししたように、ジェンダー・ギャップ指数は4つの分野の数値を導いています。日本の4分野での数値は、下記の通りです。
- 経済:0.598(115位)
- 政治:0.049(144位)
- 教育:0.983(91位)
- 健康:0.979(40位)
順位を見てもわかるとおり、政治と経済の分野で世界の国々と比べて、男女が不平等であることがわかります。
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日本の女の子はリーダーシップの発揮に消極的?
日本のジェンダー・ギャップ指数のうち、政治と経済の指数が低いと考えられる要因は、日本の女の子がリーダーシップの発揮に消極的だからかもしれません。下記は、プラン・インターナショナルによる意識調査「リーダーになる~女の子と若い女性が考えるリーダー像の意識調査~」を集計したものです。
この調査結果をもとに、見て行きましょう。
リーダーシップの発揮や意欲が他国より低い
この調査によると、回答者はリーダーになる自信がない、ほとんどないが50%。これは回答者の日本人女性が、ほかの4カ国の回答者の女性と比べて自信がないことが読み取れます。男女差別やジェンダーの固定観念が、女性がリーダーシップを取ることへの障壁となっていると言えます。
周囲や社会のサポートが少ないと感じている
家族、友人、先生はあなたがリーダーになることを励ましてくれましたか?という設問で、「はい」と答えたのは12%。やはり、他の4カ国よりも少ない割合です。また全体として、女性リーダーのほうが、厳しい批判を浴びると考えていることもわかっています。
年齢によりリーダーになる難しさを感じている
18歳を区切りに、リーダーになる難しさを感じ始める、また若くて女性であることが障壁だと感じていることも示されました。また、リーダーを経験したことのある若い女性の方が、リーダーを経験していない女性と比べて、より性差別を実際に受けたことがあると回答しています。
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福祉系大学で心理学を専攻。卒業後は、カウンセリングセンターにてメンタルヘルス対策講座の講師や個人カウンセリングに従事。その後、活躍の場を精神科病院やメンタルクリニックに移し、うつ病や統合失調症、発達障害などの患者さんやその家族に対するカウンセリングやソーシャルワーカーとして、彼らの心理的・社会的問題などの相談や支援に力を入れる。現在は、メンタルヘルス系の記事を主に執筆するライターとして活動中。《精神保健福祉士・社会福祉士》
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