現在、子どもの運動神経をよくするために、コーディネーション能力を身につけることが注目されています。実は、これは遊びの中でも身につけることのできる力なのです。運動教室などに通わなくても、自宅でも簡単に取り組めるトレーニング方法もあります。今回はコーディネーション能力とは一体なんなのか、どうやって身につけていったら良いのかについて詳しく解説します。
コーディネーション能力って?
そもそも、コーディネーション能力とはどんな力のことを指すのでしょうか?これは、1970年代に旧東ドイツで生まれた理論であり、日本語で表現すると「調整する」という意味になります。つまりさまざまな状況下でどのように体を動かせば良いのか、力加減をどのように調節すればいいのかを考える際に、欠かせない能力なのです。
12歳までに身につける必要がある理由
コーディネーション能力は脳の神経系と強くつながっているため、幼児期にこそ伸ばすべき力だとされています。脳の神経系は幼児期に急激な成長をとげ、12歳までにはほぼ成人と同じくらいに発達すると言われているからです。つまり幼児期のうちに身体のさまざまな箇所を動かし、自分自身の神経系を刺激し続けることで、大人になってからの運動神経の良さにつながっていきます。
定位能力、反応能力、連結能力って?
コーディネーション能力は、以下の7つに分けられます。そのため、7つの力を総合的に身につけていくことがとても大切です。ここではそのうちの3つをご紹介します。
1:定位能力
位置の把握能力のことです。
2:反応能力
すばやく、瞬時に対応する能力のことです。音などにすばやく反応し、動き出せる能力になります。
3:連結能力
さまざまな筋肉のつながりを意識して、動かすことができる能力です。
識別能力、バランス能力、変換能力、リズム能力
次に、残りの4つの能力ついてお伝えします。
4:識別能力
いわゆる器用さがあるかどうかということを指します。
5:バランス能力
姿勢を保つ能力のことです。
6:変換能力
状況に応じて、自分の動きを変えることができるかどうかという力のことを言います。
7:リズム能力
音や動きなどを感知し、自分の動きをテンポよく合わせることのできる能力です。
これらの能力をどのように高めていくことが望ましいのか、次にみていきましょう。
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コーディネーション能力は遊びの中で高められる?
コーディネーション能力は、さまざまな遊びのなかで身につけていくことが専門家によって推奨されています。なぜなら遊びには、体を大きく使ったり、バランスを保つなどの動きがたくさん入っているからです。運動教室に通ったりトレーニングの動画を見たりしなくても、日常に少しでも遊びの要素を入れることで、楽しく能力を高めることができます。以下に7つの能力を高めるための遊びをご紹介します。
定位能力、反応能力、連結能力の高め方
ここでは『定位能力』『反応能力』『連結能力』を高めるために行うといい遊びをご紹介します。
まずは、定位能力の高め方から見ていきましょう。動くものに対しての位置関係を知るために、大人が転がしたボールをジャンプして飛び越える練習を行ってみると良いでしょう。
また反応能力を高めるには、鏡のように大人と同じ動きを真似してもらうことが有効です。面白おかしく楽しいポーズを取ることで、子どもにとっても有意義な時間を過ごせることでしょう。
そして連結能力を高めるためには、キャッチボールをすることで、取る、投げるの動作を意識づけていきましょう。ただのキャッチボールではなく、しりとりなどをしながら行えば、飽きずに続けることができます。
識別能力、バランス能力、変換能力、リズム化能力の高め方
次に『識別能力』『バランス能力』『リズム化能力』を高めるための遊びをお伝えします。
識別能力を高めるには、スーパーボールを高く真上に投げ、それをコップでキャッチする遊びが効果的です。ボールの落ちる位置をイメージしながら取り組んでみましょう。
またバランス能力を高めるためには、片足でカカシのポーズを取ることがおすすめです。負荷を高めるために、目を閉じて行ってみても良いでしょう。
変換能力を高めるためには、ボールをバウンドさせながら相手に投げる練習をしてみましょう。相手の強さによってどのようにボールが動くのかを知るいい機会になります。リズム化能力を高めるには、楽器に触れたり、お手玉やけん玉などでリズムを感じながら遊んでみましょう。
保護者が気をつけるべきことについて
遊びの中で、コーディネーショントレーニングを高めるときに、一番大切なのは、子どもが楽しんでできているかどうかということです。保護者から「〇〇をやりなさい」「こうしたら、早く走れるようになるよ」などと指示されると、途端にやる気を失ってしまう子どもが多いです。また、同じことを何度も繰り返すと飽きてしまい、遊びが広がらなくなってしまうこともあります。まずは保護者が楽しそうにやってみせること、強制せず、子どもたちが楽しみながら身につけることができるようにサポートをしていきましょう。
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福祉系大学で心理学を専攻。卒業後は、カウンセリングセンターにてメンタルヘルス対策講座の講師や個人カウンセリングに従事。その後、活躍の場を精神科病院やメンタルクリニックに移し、うつ病や統合失調症、発達障害などの患者さんやその家族に対するカウンセリングやソーシャルワーカーとして、彼らの心理的・社会的問題などの相談や支援に力を入れる。現在は、メンタルヘルス系の記事を主に執筆するライターとして活動中。《精神保健福祉士・社会福祉士》
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