日本のアート教育は改善が必要?海外との違い
海外では、長い間STEAM教育の必要性が訴えられていましたし、子どもたちへの効果についても明確にわかってきています。しかし、現在日本ではまだ手探りな部分も多く、改善点は色々と存在しています。そこで、海外との違いを理解して、どのような点で改善が必要なのかも把握しておきましょう。
アートの捉え方が日本と海外では大きく違う
日本でいうところのアートの多くは、技術を大きく意識しており、教育でもテクニカルな面を重要視するため、「描くことを教え、育てる」ことに意識が向いています。描くことによって、自分なりの表現を見つける可能性が広がりますし、感性を磨くことはできますが、どうしても技術が先行しがちな部分は否めません。
一方、海外では技術よりもプロセスを重要視しており、子どもが持っている才能をいかにアートを通して導き出すのかに焦点を当てているのです。こうしたアートへの捉え方の違いが、日本と海外とのSTEAM教育の進み具合にも関係しています。
海外ではアートの専門家が指導する
日本の場合、STEAM教育の中でも特にアート教育は、クラス担任が美術を教えることが多いとされています。しかし、クラス担任はアートの専門家ではないため、教えられる内容に幅を持たせることができず、結果的に範囲の狭い分野しか教育できない場合もあります。
一方で、海外ではアートの専任講師が指導するため、非常に深い部分も教えてもらうことが可能です。ただ、近年ではアート教育を行う学校で専門家が指導できるように変化してきているので、海外のような学び方に徐々になっていくことでしょう。
学問としてのアートの捉え方について
海外でのアート教育の概念は、学問です。例えば、美術館やコンサートなどで鑑賞教育が行われた時は、自主的に子ども達が観て何を思ったのか、どの部分が気に入ったかなどを話し合います。しかし、日本ではこうした観賞教育の際は教師がほとんど解説をして、1名か2名の子どもに感想を聞いて終了することがほとんどです。
海外では、アートを知性と感性を磨く学問として、日本は趣味と捉えているため、アートの認識の違いがそうした教え方に変化を与えています。ただ、最近ではきちんとディスカッションをする教育も増えてきており、だんだんと海外に近づいています。
おわりに
アート教育は、SEAM教育の一環として行われており、取り入れることによってアートが持つ多様性を理解し、観察力・思考力などを鍛えることが可能です。また、自身で何かを生み出す力も蓄えることができるので、これからの子ども達にとって非常に重要な教育の1つとなることでしょう。
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福祉系大学で心理学を専攻。卒業後は、カウンセリングセンターにてメンタルヘルス対策講座の講師や個人カウンセリングに従事。その後、活躍の場を精神科病院やメンタルクリニックに移し、うつ病や統合失調症、発達障害などの患者さんやその家族に対するカウンセリングやソーシャルワーカーとして、彼らの心理的・社会的問題などの相談や支援に力を入れる。現在は、メンタルヘルス系の記事を主に執筆するライターとして活動中。《精神保健福祉士・社会福祉士》
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