学校の授業というと、先生のお話を聞いて板書をノートにとる講義形式を想像すると思います。しかし、今は生徒が能動的に授業に参加する「アクティブラーニング」を取り入れている学校も増えています。
そして、その中でも仲間と協力しながら行われることで、自己効力感も高まるとして注目されているのが、今回ご紹介する「ジグソー学習」です。
「ジグソー学習」について知りましょう
まだポピュラーではない「ジグソー学習」について、まずは知っていきましょう。
ジグソー学習は意外と歴史の古い学習方法で、意外な理由で誕生しました。それが今、子どもたちの教育方法として注目されているのですから、驚きですね。
「ジグソー学習」の意外な誕生理由
ジグソー学習は元々1970年代、アメリカの社会心理学者エリオット・アロンソンによって、「ジグソー法」として考えだされました。
この当時は、アメリカの学校で白人と黒人の教育格差が問題視されており、その対策としてジグソー法を提案したそうです。この学力差は、白人の子どもと黒人の子どもの積極性の差によるものでした。お互いに協力し合うような学習方法を採用すれば、積極性の差が埋まり、教育格差を解決できるのではないかと考えました。
つまり、最初は生徒が能動的に授業を受けて理解力を高めるなどの理由ではなく、生徒間の教育レベルの差を埋めるために誕生した学習方法でした。それが、現在では日本の教育にも取り入れられ、「ジグソー学習」として知られるようになりました。
話題のアクティブラーニングにも活用できる
「アクティブラーニング」は、子どもたちが自ら動いて学ぶ学習方法のことです。
アクティブラーニングでは、あくまでも子どもたちが主体となって考えるので、先生は進行役に徹し、中立な立場で子どもたちを導きます。子ども同士でのディベートやグループでの話し合い、そして作業などを通して、知識を得るだけではなく「問題を解決する方法を考えられる力」を得られることが目標となります。
子どもたちが協力して課題に取り組む「ジグソー学習」は、アクティブラーニングにぴったりの学習法といえるでしょう。
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「ジグソー学習」はグループで行う
前述したように、ジグソー学習は「お互いに協力しあう」学習方法です。
先生が提示した課題を解決するために、いくつかのグループに分かれます。今回は、30人学級の5人で構成された6つのグループ(A~F班)が社会科で「日本について」という課題について考えると想定して説明していきます。
まずは「エキスパート活動」から
各班のメンバー5人は、それぞれ「文化」「農業」「自然」「気候」「歴史」の各セクションを担当することになります。A班のGさんは「文化」の担当、Hさんは「農業」の担当といった具合です。
そして、今度は各班から担当のセクションにグループ分けされます「文化」担当グループには、A班からGさん、B班からIさんなどと派遣され、6人の新たなグループが出来上がります。
その「文化」担当グループでは、日本の文化について調べたり話し合いをしたりして知識が深められます。つまり、「日本の文化」に特化したグループなのです。この活動を「エキスパート活動」といいます。
自分のグループへ戻り「ジグソー活動」
それぞれの担当グループでエキスパート活動を終えた後はもともとの班に戻り、エキスパート活動で得られた知識を他のメンバーにも伝えます。これが「ジグソー活動」です。
A班であればGさんが得られた「文化」の知識を、Hさん以下ほかの4人にも共有することで全員が同じ情報を得ることができるのです。そしてHさんは「農業」担当グループで得た知識をGさんたちに伝えて、他の3人もそれぞれが担当した知識をグループのメンバーに教えていきます。
自分がより多くのことを知るだけでなく、他のメンバーに自分が学んだ内容を伝えることで、他者の学びに役立てたと実感し、「自分はできる」という自己効力感も高まるといわれています。
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元IT系企業勤務。現在はフリーランスのデザイナーである夫の会社でWebサイトの構築、運営やライティングをしています。ゆる受験で私立中高一貫校に通う長女、ガチお受験で私立小学校に通う次女、そして幼稚園に入園する三女の三姉妹のお母さんもしています。
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